Topページ > 工人の系譜 > ルポ:沼田桐下駄と利根沼田座敷箒
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熟練の技で使いやすく/喜ばれる誇り支えに

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下駄の鼻緒の穴を開ける急所の作業。

 沼田の桐下駄(げた)は県の伝統工芸品の1つ。父の跡を継ぎ、55年にわたり桐下駄作りに打ち込んできたのが伝統工芸士の丸山勝美さん(69)=沼田市。全国からの注文に応えて、伝統的な駒下駄やかかと部分が高い右近など40種類の下駄を手作りしている。一足仕上げるには、桐材から下駄の大きさ28cmに切り出す玉取りをはじめ、乾燥、磨き、鼻緒や前金を付ける7工程ある。全工程の技術を持つのは県内でも丸山さんただ1人だという。「技の違う親方3人の下で修業し、各工程を会得した」と振り返る。

ハの字に穴通す

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上から桐材が美しい新作下駄、体のバランスを取るのに良い一本下駄、伝統的な正目の下駄。

 「丸山さんの下駄は不思議と履きやすい」という評価は、研さんを積んだ末にたどりついたたまものだ。それは鼻緒の穴を真下でなく、ハの字型に貫通させる技術にある。また、良い正目の下駄を作るには、目幅が均一で下駄の裏まで目が真っすぐに下りる素材を探す眼力や墨掛けができる高い技術が問われる。こうした知識のある職人も、もはや県内では丸山さんだけという寂しい状況だ。
 洋服の普及で全く仕事のない時期もあったが、腰痛予防や外反母趾(ぼし)の矯正効果、健康志向も後押しし、休日返上で「桐下駄をこしゃえる今は幸せ」と感謝する。最近のヒット商品は「1本下駄」。足腰が鍛えられ、血流も良くなる―と評判を呼びレスキュー隊からの注文もあったほど。取材当日も3人の女性が高山村から訪問。桐材が山と積まれた仕事場で浮かぶ新発想が、桜や紅葉などの「新作塗り下駄」に結実、その美しさに歓声が上がった。

穂先を斜めにカット

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箒作りに精を出す関 直太さん。

 全国から根強い人気を集める座敷箒(ほうき)を作り続けている伝統工芸士で県座敷箒組合長の関直太さん(79)=川場村=はこの道60有余年。冬季の農家の副業は、5月ごろ畑にまいた箒草を10月に収穫することから始まる。箒作りに取りかかる前の水に浸け置きする下準備にも天候による微妙な加減があり、柄の下の部分を市松模様にする工程には特に熟練を要する。半柄の袋箒の穂先を斜めに切ったり、細い箒草も捨てずに生かし、柄の丸い細身の小箒に仕立てたことも研究の成果だ。「箒の使い勝手の良さに惚(ほ)れてくれた消費者に喜ばれる喜び」が関さんを支えている。根っこのような手が作り出す桐下駄と座敷箒。「使いやすさ」に本物の技と誇りが込められている。

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右から箒の元祖と言われる袋箒の長柄、穂先が斜めにカットされ、柄の短い半柄、小箒、柄の丸い小箒。

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収穫したホウキ草を脱穀し、天日に干して乾燥させる。