Topページ > 工人の系譜 > ルポ:ぐんまのこけしと高崎だるま
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一点一点に真心込めて/海外からも高い評価

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明治末期に前橋の玩具工場から広まったロクロの技術や旋盤、研磨、絵付けなどの工程を経て完成する伝統工芸品の創作こけし。木の感触をいとおしむように心を込めて制作する。

 「誰が見てもほおずりしたくなるような、ほっとするこけし作りが目標です」と穏やかに話す県こけし組合長の岡本有司さん(59)=榛東村。父で師匠の初代、卯三郎さんから学んだ彫刻やニクロム線で焼きを入れる技法を使い、伝統こけしとは異なった新感覚の創作こけしを作り、農林水産大臣賞や文部科学大臣賞などに輝いている第一人者だ。同組合などで生産するこけしは全国の9割を占め、英国、仏国、豪州、米国、韓国などにも輸出。3年前から英仏両国への輸出量が岡本さんの会社で作るこけしの3割を占めるほど、海外からの人気が高い。

感性研ぎ澄ます

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輝かしい受賞歴を持つ個性豊かな作品は、岡本さんの経営する卯三郎こけしの創作こけし工芸館に展示され、見る人の心を優しく包む。

 省略された形の極みとも言える円筒形や丸形の中に、わずかな手の動きや袖、絵柄、部品を付けて、固定的なイメージを打破する表現を常に打ち出していく点に難しさがあり、魅力があるという。新しい発想を得るために普段から幼い子供のしぐさや表情を観察、絵画鑑賞などにも間口を広げ、感性を研ぎ澄ますための努力を怠らない。榛名山系に多い木肌の白いミズキのほかに赤や白のケヤキなども材料として使い、木目の美しさなどから発想を得ることもあるという。「素朴な木のぬくもりは日本人にふさわしく、お土産に買っていただき一家団らんの糸口になるようなこけしを作りたい」

地域の文化に

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伝統工芸士として広い視野に立ち「高崎だるま」の後継者づくりにも力を注ぐ中田さん。鮮やかな筆使いで眉と髭を描き入れる。

 高さ9cmから75cmのだるま約20種、ほかに黄や青の色物を含めると製品は数えきれない。県達磨製造協同組合理事長の中田純一さん(55)=高崎市=が経営する大門屋には、眉が鶴、髭が亀の形が特徴の「高崎だるま」がずらりと並ぶ。全国の生産量の大多数を占め、世界中から注文のあるだるま作りは、農家の副業として始まり、約200年の歴史がある。4代目の中田さんは「だるまを作り、買うということ自体がこの地域の文化になりつつある」と語る。35年間、精進してきただるま作りは成型から始まり、白塗り、目・鼻・口入れ、仕上げの眉(まゆ)・髭(ひげ)描きなど7工程あるが、「気温や湿度の変化に対する微妙な調整が必要で、各工程すべてが真剣勝負」。願いをかなえるのが高崎だるまの本質と言い、「お客さんの要望に応える完成度の高いだるまを今後も心を込めて作っていきたい」と真摯(しんし)に話す。