Topページ > インタビュー > 三輪途道 氏
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伝統的な仏像制作技法で現代具象彫刻。 社会貢献で技を還元。

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目に見えぬ何かに導かれて

 彫刻家の三輪さんは、大学院在籍中に不思議な経験をした。修了制作で東大寺俊乗堂、重源上人像(国宝)を模刻しようと現地を訪れた時のこと。多くの人の助けで不可能と思われた状況が将棋の駒をひっくり返すように次々と好転、最良の環境で制作を進めることができた。このときの縁で日光輪王寺から七福神像のうちの失われた4体の制作を、東大寺からも四聖の1人でありながら唯一肖像彫刻が現存しなかった菩提僊那(ぼだいせんな)の制作を依頼された。

生活と制作を密着させた独自の世界

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 10年前、生まれ育った下仁田にアトリエを構えてから、次第に実生活と制作の間に生まれる微妙なズレが気になり始めた三輪さん。
 「生活をしている自分の延長線上から生まれる作品こそ、見る人に気持ちが伝わるのでは?みんながふたをしたがるような格好悪いところに目線を当てるのが自分の役回りなのでは?と思うようになりました」
 その思いを形にした初めての作品が、ご両親をモデルにした木彫。あえてステテコ姿、あえて普段着。リアルに描き出した日常に、ユーモアをプラスした三輪ワールドが確立した。
 出産を経験したことで、4年ぶりに開く個展のテーマは「育児」。ここでも大方の予想を裏切るようなユーモラスで、時にドキッとする作品が並ぶ。「みんなが見ないところに視点を設ける」独自の世界がまた新たな広がりを見せた。

技を社会に還元
 彫刻家として技の伝承について尋ねると「伝承ではないかもしれないけれど」と前置きをして言った。「社会貢献はしないといけないと思う。本能的に」
 三輪さんが一番落ち着く場所は、奈良の東大寺。そこは、光明皇后が悲田院や施薬院を設けるなど社会事業のさきがけであり、今でもさまざまな社会貢献事業を行っている。
 中学生のころから仏像好きだった少女は直感的に木彫を選び、何かに導かれるように東大寺へたどり着いた。高く洗練された技術で独特の作品を手掛ける今「仕事と平行して、木に触れたいと思った人のお手伝いをしたい」と月に2回、木彫教室を開催。自分の得た「技」に、奈良の昔からつながる心を添えて社会に還元し続けている。
 

【プロフィール】

みわ・みちよ 1966年下仁田町生まれ。東京造形大彫刻科卒業、同大彫刻科研究生修了後、東京芸術大大学院保存修復技術専攻修了。伝統的な仏像制作技法を用いながらも、現代的に洗練された彫刻で高い評価を得ている。1999年第23回上毛芸術奨励賞受賞。前橋と東京・銀座を中心に全国各地で個展を開く。出産後、東京では4年ぶりとなる個展(三輪途道展―育児の作法―)を12月3−15日まで銀座のガレリアグラフィカで開催。