
きねと臼で粉をひくと、機械では出せない独特の風合いが生まれる。
上新粉など米粉商品を長年取り扱っていた群馬製粉(渋川市、山口慶一社長)が、新たな挑戦を始めたのは8年前。「和菓子だけでなく、洋菓子にも米の粉が使えないか―」。当時現場にいた山口社長など3人でプロジェクトチームをつくり、ヒントを得るため全国の洋菓子店を訪ね歩いた。
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「小麦アレルギーの子どもでも食べられるケーキが作りたい」。都内に店舗を構える有名パティシエも偶然、同じものを求めていた。小麦粉に代わる、新たな粉製品の共同開発が始まった。
だが乗り越えなければならない課題は山積。米にはグルテニン成分が含まれていないため、通常の上新粉などでスポンジ生地を作ると思うように膨らまない。逆にデンプン質を多く含んでいることから、生地がべたついてしまうという欠点もあった。そこで、小麦粉よりもさらに細かく粉砕することに着目。独自技術により、しっとりとした食感の生地が出来上がる米粉が完成した。「リ・ファリーヌ」と名付けられ2003年に発売。開発が始まってから3年の月日がたっていた。

爆発的なヒット商品となった「リ ・ファリーヌ」。
業界をにぎわす画期的な新商品は発売以来、テレビや新聞などマスコミに引っ張りだこ。現在は日本全国の洋菓子店だけでなく、台湾やフランスなどでも多く使われている。販売量も発売当初から10倍以上伸びた。山口社長は「今でもほぼ毎日、商品についての問い合わせの電話が来ます」と、大ヒットにほおを緩める。
業界を変え、世界の菓子作りも変えた群馬製粉の粉砕技術。しかし変わらない原点もある。「製粉前に洗米しなければならないが、創業以来工場が建つ渋川の地からは、いつもきれいな水が豊富に出るんです」と山口社長。創業者の祖父がこの場所を選んだ意味をかみしめる。
2004年にはこれまで粉砕が難しいとされていたコーヒー豆を、香りを残したまま微粉砕した新商品「カフェリーヌ」を発売。さらにフリーズドライしたレモン、ミカンを細かく砕いた商品も話題を集めている。山口社長は「既成概念にとらわれず、独自の製粉技術を生かして挑戦し続けていきたい」と力を込めた。

ひいた粉をパッケージングするための工場。

コンピューターを使った品質管理も欠かせない。