

自動車や歩行者などを検知し、事故を防ぐ運転支援システム「次世代ADA」。富士重工業(本社・東京)が産学官連携で開発した。自動車室内のカメラ2個で得た映像データを処理、必要に応じてブレーキ制御したり、警報音が鳴る。低速度や近距離でも対応、先行車に追従するクルーズコントロール機能も。さまざまな技術が集積された半導体(右上)が内蔵されている。
「産=企業」のニーズと「学=大学や研究機関」の持つ技術を結びつけ共同研究や製品開発などを行う産学官連携。本県でも県、県産業支援機構、北関東産官学研究会などを調整役に活発化している。中でもアナログ関連産業は、産学官に民間も加えた連携による取り組みが本格化、先進県として県外から注目を集めている。
産学官連携は、知的資源を求める「産」と、地域貢献や財政基盤の安定を求める「学」の方向性が一致、広がりを見せている。経済グローバル化で産業構造の変革が求められる中、新商品や新事業創出の起爆剤として期待されている。

サンデン(伊勢崎市)の無線通信モデム「モデルノ」。自動販売機、ガスや水道などの機器の使用状況をチェックする際などに活躍する。2012年に実施される電波の周波数再編を視野に産学官連携で開発。どの通信方式にも対応する相互運用性、利用側と機器の通信の双方向性などが特徴だ。
本県は健康科学、基盤技術、アナログ関連などの産業で、群馬大、前橋工科大、群馬高専などの「学」と企業が連携。これまで、生分解性繊維による植生マットの製品化、アスベスト(石綿)を低温で無害化する装置の共同開発など多くの成功例が発表されている。
アナログ関連産業振興政策は本県の産学官連携の代表例。県内大手2社の県への提案をきっかけに2002年度からスタート。03年にはアナログ技術者OBらがNPO法人・アナログ技術ネットワークを、群馬大はアナログ集積回路研究会、県内大手企業などが連絡協議会(現在約50社)を次々設立した。アナログ技術の研究開発や人材育成が行われている。
電子・機械製品はデジタル化が進むが、人間が認識できる音の強弱、温度の高低、形の大小などはすべてアナログ的な量であるため、必ずアナログ技術が使用されている。だが、若手が即戦力となるデジタル技術とは違い、「10年で一人前」となるアナログ技術は敬遠されてきた。
そのため、主な担い手は団塊世代をはじめとする50代で、後継者問題に直面していた。こうした危機感の中、本県での取り組みが始まった。

実習で学ぶ参加者。アナログ技術伝承のため産学官民連携で人材育成に力を入れている。
04年度以降、経済産業省事業で研究開発が行われ製品化した例もあるなど成果を上げている。講座による人材育成も進められていたが、県が群馬大に委託した群馬アナログカレッジ(アナログ先端技術講座)が今夏開講。大学教授や技術者らを講師に、県内に事業所を持つ企業の若手技術者が座学と実習で、技術修得を目指している。
産学官民連携で全国屈指のネットワークが確立された本県。県は「本県が世界に誇れるアナログ技術の設計、製造拠点となることを目指したい」としている。