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光と空間のアーティスト。 立方体万華鏡で作る喜びを世界に。

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胎内を思わせる機の音で育つ

 「母の胎内」。日本を代表する造形作家、ヤマザキミノリさんは、出身地である桐生をこう表現する。朝、目を覚ますと、聞こえるカッシャカッシャカッシャカッシャという機音。胎内を感じさせる温かな布団にくるまれながら聞く規則的なその音に、体の中に眠っていた記憶が目を覚ます。
 「桐生で過ごした時間や経験は、どこかで今の自分に影響を与えている」とヤマザキさん。豊かな自然と確かなテクノロジーが同居し、どちらにもたやすくアクセスできる桐生。山懐に抱かれ、機音を聞きながらコイルやネジで遊んだことが、創造性を育んだのかもしれない。

アートの原点は10センチの立方体

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 ヤマザキさんの創作活動のテーマは「光と空間」。原点は、東京芸術大1年のときに制作した立方体万華鏡だ。「空間に増殖する立体構成を作る」という課題に、積み木のように箱構造を外へ向かって増やすのでは面白くない、と内側への増殖を試みた。鏡張りにした立方体の内側にわずかな光を入れることで、逃げ場を失った光が反射を繰り返して規則的に無限に広がる。担当教官から大絶賛され、手のひらに乗る1人で見る光の箱は大勢で見られる光のオブジェへ、さらに人が入れる大型の光の空間表現へと進化を遂げた。
 現在、ライトアート、パブリックスペースの空間演出、CGなど活躍の場を広げるヤマザキさんが制作にあたって心がけているのは、単純透明なのに複雑でいろいろに感じられる普遍的なものを目指すこと。「作品が独り歩きをして人々の共感を呼ぶところが面白い」と次々に新しい作品を生み出している。

ユニバーサルアートで世界に笑顔を
 最近、ヤマザキさんが注目しているものに、万人が共感できる芸術・ユニバーサルアートがある。福岡にある「ふくろうの会」が立方体万華鏡をユニバーサルアートの一つに掲げ、各地でワークショップを開催。その輪は、ドイツやポーランドなどにも広がっている。誰にでも作れ失敗のない立方体万華鏡は、参加者全員をアーティストにし、物づくりの楽しさを与える絶好のアイテム。小児病棟やホスピスでは、生きる喜びも感じさせる宝箱だ。
 桐生に生を受け、母胎を感じさせる機の音を聞いて育ったヤマザキさんが生んだ手のひらサイズの「知」。そこから生まれた感動は、世界中に笑顔を「増殖」させている。
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【プロフィール】

やまざき・みのり 1954年桐生市生まれ。鋸屋根の機音が胎内音のような環境で育つ。桐生高校で群馬大工学部を目指すも数学で挫折し東京芸術大入学。1974年同大1年の時に考え出した立方体万華鏡キューモスから創作が始まり、無限反射イメージのライトアートオブジェや宇宙的な空間インスタレーションを作り出している。誰でもアートを作り出す側になれるユニバーサルアートの普及を目指す。11月に銀座で個展開催予定。現在、女子美術大メディアアート学科教授。