ほしの・てつや
1955年前橋市生まれ。79年にヤクルト本社入社。88年に群馬ヤクルト販売に移籍し、2003年4月、同社社長就任。05年6月ヤクルト本社取締役に就任し、現在に至る。日本マーケティング協会常任理事。
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シリーズ<10> 2007年8月15日掲載
健康は心の元気と食生活。腸を整えることが大事です。
群馬ヤクルト販売代表取締役社長 星野 哲也 さん
 毎日元気はつらつ、パワー全開の星野社長。秘訣は一日5本飲むというヤクルト400、社長いわくヤクルト2000≠セそうです。インタビューに伺ったこの日も、大きな声に身振り手振りを加え、熱く楽しくお話くださり、時には取材班を爆笑させてくれました。
 ■健康に役立つ乳酸菌■
群馬ヤクルトは、2005年に創業50周年を迎え、今年は52年目になりますが、これまでの歩みを振り返ってみて、いかがですか?
(星野) 創業した1955(昭和30)年は、私が生まれた年です。群馬ヤクルトとともに歩んできたわけですが、沿革を言いますと、前橋、高崎、沼田、木崎(今の太田)の4つの販売会社が55年に合併して、群馬ヤクルトとなりました。というのは、30(昭和5)年に、京都大学の代田稔博士が人の健康に役立つ乳酸菌「ヤクルト菌」の強化・培養に世界で初めて成功し、研究者が事業化するのは難しいので、今でいうベンチャービジネスとして、全国に販売店を募集したわけです。前橋では、私の祖父が手を挙げました。
昭和30年代には、全国に500社ほどあり、それぞれが自社工場で作り、販売していました。けれども、製品にバラつきが出てきて、「これではヤクルトの価値が下がる。ブランド価値を高めよう」と統合し、商品を製造するメーカーの「ヤクルト本社」と、販売会社が全国各地にできたわけです。県内では4社が合併し、71(昭和46)年に「群馬ヤクルト販売」となりました。通常、最初に製造メーカーがあり、販売ディラーが生まれるものですが、ヤクルトの場合はまったく逆のパターンなんです。
大変興味深い誕生ですね。
(星野) そうなんです。
ところで、よく、「ヤクルトはおやつ」という認識があるようですが、実は困った認識なんです。(写真を広げながら)これは、私が一番好きな写真なんですが、56年に南極観測船「宗谷」が初めて南極を目指したとき、ヤクルトを積んでいたんですね。未知なる世界の南極には、どんな有害菌があるかわからない。予防のためにヤクルトを飲みながら進んだといいます。これはヤクルト効果の象徴とも言えますね。
なぜ、間違った認識が生まれたかというと、旅館が食中毒の予防のためにお客さまに出していたのをおやつと誤解されたのが始まりです。「ビオフェルミン」という乳酸菌の薬がありますが、「L.カゼイ・シロタ株」は京都大学の同じ研究室で開発されました。
ヤクルト製品は、販売方法にユニークなところがありますね。
(星野) 究極の目的は、皆さまに幸せになってもらうこと。量は少なくても継続して飲むことが健康につながります。そのため、定期的に補給してもらう仕組みとして宅配を選びました。今でも、「ヤクルト400」は宅配だけで、店舗販売はしていません。
さらにユニークなのは、女性が社会進出するきっかけをヤクルトがつくったことです。女性は、コツコツやるのが得意ですし、印象がソフトですね。67(昭和42)年に容器がガラス瓶からプラスチック製になり軽くなると、女性販売員が飛躍的に増えました。託児施設を全国ネットで作ったことなども、女性の社会進出の先駆けとなったのです。これからも優秀な女性スタッフに活躍してもらうために、環境にやさしい電気自動車「エコカー」を導入するなど、新しい取り組みも行っていきたいと思います。
 ■毎日の継続で健康を維持■
普段の食生活はどのようですか?ご自分で料理を作ることは?
(星野) いつも飛び回っていて、家にほとんどいないため、自分で作ることはありませんね。夜は、ほぼ毎日、外食ですね。好きな食べ物は、フルーツ。肉はほとんど食べません。ゴリラと同じです(笑)。水分が多い食べ物が好きなので、夏は大きいスイカを半分食べちゃいますし、ナシやメロンも大好きです。それから煮込みうどんは好きだなあ。めん類が好きで、うどん、パスタ、今の時期はそうめん、冷や麦。具だくさんのけんちん汁もいいですね。
とにかく野菜が好きなので、生野菜を朝から山盛りで食べます。ゴボウやヤマイモも大好きです。私の体を維持しているのは、ヤクルトとヨーグルトと、それからアーモンドチョコレート(笑)。子どものころの思い出の食べ物でいえば、ハムサンド!まだ出回り始めたばかりで、うまかったですね。
私の健康法は、「ヤクルト400」を毎日5本飲むこと。われわれが体感すれば、自信をもって勧められますし、お客さまの8割は、自らその価値を体感してくださっています。私が健康でないとまずいでしょ。そのプレッシャーは常にあります。ですから、毎日、朝から元気いっぱいです。朝風呂に入り、パワー全開で出社します。いつも燃えていますから、毎晩、寝る前にはクールダウンで、冷たいトマトを2個食べます(笑)。とにかく、バランスのよい食生活を継続することが重要です。子どものころから、正しい食生活の習慣を身につけることが大事だと思いますね。
野菜が好きというお話がありましたが、群馬県は野菜の産地ですね。
(星野)

そうですね、私は、群馬の特産である野菜と豚肉を使った「まえばしton ton汁」のプロジェクトのキャプテンなんですが、今度は、群馬の小麦粉を使った「豚まん」を発表する予定です。それぞれの分野のプロが集まり、群馬の新しい名物を誕生させたいと思っています。これからも、地産地消を推進するために野菜と豚肉を使った新しい食べ物を作っていきたいですね。

 ■「お客様の健康を守る」■
群馬ヤクルトの信条は、「お客様の健康を守る」ですが、具体的な取り組みについて教えてください。
(星野)

大きく2つあります。健康で大事なのは、心だと思います。ストレスがたまると病気の原因になります。ですから、まずは心を元気にすることが大切です。それから食生活。何を食べているかで体の状態は変わります。
まず、心が大事で、お客さまに元気になってもらう。ですから、お会いしたときに、元気を提供しなくてはならない。元気よく、お客さまに感動してもらえるあいさつをしたい。これはポイントです。元気のない社員は、人の心を動かすことはできません。いろんなお客さまの話を聞くと、「あの元気なあいさつに救われるよ!」と言ってもらえます。ヤクルトスタッフが訪問して元気づける。これは、ヤクルトの大きな社会貢献だと思っています。
それから食ですが、食べ物はどこで吸収されるかというと、腸です。腸の機能を正常に保つことが一番大事です。腸を正常に保つためにどうしたらいいかというと、乳酸菌です。ヤクルトのL.カゼイ・シロタ株を定期的に補給することで腸の機能が正常になります。乳酸菌の開発は、日本が世界で最もリードしています。健康ブームで、ヨーロッパをはじめ、世界28カ国に広がり、今や、ヤクルトはナショラルブランドからワールドブランドになっています。

学校給食や保育園・幼稚園でもヤクルトを飲んでいますね。
(星野) 学校給食や保育園・幼稚園での提供は、栄養士さんに「安心・安全で健康に貢献するものを子どもさんに与えてください」という啓蒙活動です。乳酸菌は体に必要なものであり、われわれは乳酸菌がないと生きていけません。腸の中には、約100種類100兆個の細菌が生息しているといわれています。最近の研究データでは、腸内細菌は400種類ぐらいあるのではないかと報告されていますが、まだはっきりとは解明されていません。そうした中、乳酸菌を継続的に摂取することで善玉菌が増え、食中毒や赤痢、疫痢などの病気の予防につながるのです。
2003年に国の「健康増進法」ができ、健康への考え方は大きく変わりました。それまでの治療医学から予防医学へ。個人個人で自分の体を守る。その基本は食生活です。そして、必要なのが乳酸菌です。私は、いよいよヤクルトの時代が来たと思っています。
 ■体を温め免疫力アップ■
健康プラザを開設したり、健康セミナーや健康ツアーを開催されていますが。
(星野) なぜ、病気になるかというと、一番大きいのは体温が下がることです。今は低体温が問題になっています。体温が1度下がることにより、免疫力が37%下がるといわれています。運動しない、汗をかかないという生活をしているから、病気をしやすくなる。それで医療費が上がるという悪循環です。乳酸菌L.カゼイ・シロタ株は免疫力を上げますが、体温が下がるようなことをしているとやっぱりだめです。
健康プラザでは、炭酸のお風呂や岩盤浴で汗をかき、血流をよくして体をポカポカにし、免疫力を上げることを目的としています。そして、乳酸菌を取り、総合的に全身免疫を活性化することで病気を予防します。別事業を立ち上げたのではなく、総合的にお客さまに正しい情報を提供したいと始めました。健康セミナーでは、地域に密着したセミナーを行っています。健康ツアーを含めて、最近の3カ月間で、2000人の方々にご参加いただきました。社員は講師が務まるように、みな健康管理士の資格を持っています。
今まで何度もヤクルトグループ全国最優秀販売会社特別賞を受賞されていますが、御社の今後の展望についてお聞かせください。
(星野) 私は、ヤクルトグループ内の順位はまったく気にしていないんです。いかにお客さまや社会に支持されるか−。一番大事だと思うのは、継続する仕組み。売る仕組みではなく売れる仕組み。健康セミナーでは、工場見学に行ったりしますが、これを「経験価値マーケティング」といっています。いろんなことをお客さまに経験・体験してもらい、その中で価値を認めてもらう、というマーケティングです。価値を理解してくれたお客さまは、自然にヤクルトのファンになってくれます。
ヤクルトのお客さまになったら、次は「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」。1対1のマーケティングですね。心の触れ合いができますし、100人いれば100通りの個別の対応をしていきます。大切なのは、お客さまへの奉仕の精神。例えば、訪問したとき、まずお客さまの健康を気遣う。気遣うことで対話が生まれ、それがお客さまの心に響く。結果として支持される。ヤクルトグループが今まで経験したことがないマーケティングを普及することも私の仕事だと思っています。
最後に、『みのりくらぶ』の読者へメッセージをお願いします。
(星野) 人生は1回ですから、幸せに生きることが大事です。そのために大事なのは健康であり、健康の基本は食です。普段の食生活に関心を持ってもらいたい。その上でも、『みのりくらぶ』のような食と農の情報紙は大変役立つと思います。ぜひ、積極的に読んでほしいですね。
うれしいお言葉、ありがとうございます(笑)。今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

(聞き手 上毛新聞社広告局副理事・編集部長 渡辺佳幸)