鈴木伸一選

2004年2月3日上毛新聞掲載


くつ底に寒さ集まる月曜日
小野上中2年 佐藤  陽
【評】休み明けの月曜は、普段の生活に戻るのが何だかおっくうに感じることもありますね。「寒さ」は、そんな心理も反映していそうです。
板の間で寝そべり今日は春の風
小野上中2年 佐藤 俊樹
【評】板の間に寝そべったときの開放的な気分が、おのずと春の風を感じさせたのでしょう。「今日は」という断定が、とても効いています。
ストーブの青い炎に雪景色
小野上中3年 丸山  修
【評】室内のストーブと外の雪景色ではなく、ストーブの炎に雪景色が浮かんだと解したい。宮沢賢治も、雪を青い炎と感じたようですよ。
日直の学級日誌に冬の風
小野上中1年 飯塚 仁美
【評】学級日誌を開いた瞬間、冬を感じた飯塚さん。理屈ではなく、中学校生活を通して自然にとらえられた季節感であるのが、何よりいい。
帰り道キンモクセイの星が降る
安中二中1年 須藤 里菜
【評】密集して咲くキンモクセイの小さい花は、なるほどたくさんの星みたいに見えます。それが散る様子を、たいへん叙情的に描きました。
遠慮なく窓にぶつかる冬の風
高崎片岡中3年 熊崎 葉子
【評】「遠慮なく」という冬の風の擬人化が、たいへん効果的。少しは遠慮して欲しいと思うくらい強く吹くことが、確かにありますよね。
ひらひらとガラスの如き雪が降る
高崎片岡中3年 飯塚 るみ
【評】「ひらひら」と「ガラス」は、言葉の質感がまったく異なりますが、この句では、両者がうまく噛(か)み合って詩情を生み出しています。
冬日和ピリリと痛むひざの裏
高崎片岡中3年 押元 萌実
【評】こういう経験は、私もあります。寒さでからだがこわばっているせいでしょうか。何にせよ、これは確かに冬ならではの俳句ですね。
冬の日の朝は二度寝で夢二種類
高崎片岡中3年 大島 成美
【評】なかなか起きられない冬の朝。「二度寝で夢二種類」はユーモラスであると共に、実感もあります。
初日の出いつもの庭に広がるよ
富岡南中3年 岡田 和貴
【評】見なれた自宅の庭も、初日の出となれば、まったく違う雰囲気が感じられたのではないでしょうか。
粉雪を舞い上げし風わが身うつ
水上中3年 相澤 康太
【評】冬の風に身を打たれることが孤独やつらさをもたらすのではなく、むしろ作者が前進して行くのを励ますものであると感じられます。
庭のゆず松の木の下光ってる
下仁田東中3年 赤岩 和紀
【評】上にあるマツの緑と、下にあるユズの黄金色。色の対比も構図もおもしろいので、一読して印象に残ります。着眼点がよかったですね。
大そうじ私を使うお母さん
安中一中2年 鈴木 ゆり
【評】「私を使う」と言いながら、本当はお母さんの手伝いができるのがうれしいのでしょう。お母さんも、それはきっと分かっているはず。
蒲公英の花が咲くころ受験生
藤岡小野中2年 井上 美紀
【評】春には3年生。いよいよ受験が現実のものとなってきます。蒲公英(たんぽぽ)は、外見よりずっと逞(たくま)しい花。そんなふうにがんばってください。
栃の葉の虫くい穴から空みえた
前橋若宮小6年 書上  奏
 【評】虫くい穴からのぞいた空は、きっといつもとは違って見えたことでしょう。自然をよく観察すると、いろいろな発見に出合えますね。
初雪できらきら光る通学路
榛東南小6年 剣持 龍志
【評】実際に初雪が光って見えたのでしょうが、初雪が降ったうれしさに、通学路が輝いているように感じられたということもあるでしょう。
湖に白鳥ひらりとまい降りる
榛東南小6年 青山 薫英
【評】白鳥(はくちょう)の優雅な姿が、ぱっと目に浮かんできます。物語の一場面を見るような感じもしますね。
銀世界無言で戦う雪合戦
大間々南小6年 君島 花梨
【評】雪合戦も真剣になってくると、かえって声が出ないものかもしれません。実際に戦っていると、遊びであることを忘れてしまうものね。
せみの声響きわたるよ教室に
大間々南小6年 吉原 綾乃
【評】夏の日の教室。開け放した窓から、セミたちの鳴き声が飛び込んできます。何だか、教室が林の中へ移動したみたいに感じませんか?
さむすぎてふくのも大変リコーダー
富岡高瀬小6年 山田 理奈
【評】寒いと、指がスムーズに動かないものね。四苦八苦している山田さんの姿が、目に浮かぶようです。
新学期雪にのってやってくる
群馬上郊小6年 高橋まり絵
【評】3学期の始まりを、降る雪によって実感した高橋さん。小学校生活も、いよいよ残りわずかですね。
雪の精枝にすわって白い花
水上藤原小6年 富岡  遼
【評】水上町は雪がたくさん降りますから、「雪の精」という言葉にも実感がこもっています。あたり一面、白い花でいっぱいなのですね。
大雪だ猫も腰ぬかす七十センチ
昭和大河原小5年 加藤  咲
【評】昭和村も雪の多い所ですが、さすがに麻Zンチというのは驚いたことでしょう。「猫も腰ぬかす」が、本当のことに思えちゃいます。