鈴木伸一選

2004年3月30日上毛新聞掲載


昼休み春を感じて将棋さす
小野上中1年 佐藤 克紀
【評】日だまりの中、友だちと対局しているのでしょう。近づく春を感じ、今こうしていることの大切さが、しみじみと思われる一時(ひととき)です。
席がえにちがう風ふく三月や
小野上中1年 飯塚 仁美
【評】席がかわると、いつもの教室も、どことなく違って見えてくるものです。そんなちょっとした心の動きが、よくとらえられています。
春風にカラスぶわぶわ飛びにけり
小野上中1年 唐澤 秀行
【評】「ぶわぶわ」がおもしろい。このユニークな擬音により、飛んでゆくカラスのふてぶてしそうな様子が、ぱっと目に浮かんできます。
三月のカラスの声にあたたかさ
小野上中1年 長久保徴子
【評】カラスの鳴き声がこんなふうに感じるのも、春なればこそ。長久保さんの心の中は、すっかり春のあたたかさで満ちているようです。
先輩の制服洗う洗濯機
小野上中2年 佐藤 正基
【評】セ音の連なりが、印象的なリズムを生んでいます。卒業する先輩との別れを惜しみながら、一生懸命に制服を洗っているのでしょう。
登下校バスの窓から見える春
昭和中1年 加藤  潤
【評】スクールバスでの登下校を退屈せずにいられるのは、俳句によって、季節の移り変わりを楽しむ心が養われたからかもしれませんね。
学舎で寂しさだけが居残り授業
下仁田東中3年 神戸 恵理
【評】卒業間近のさびしさが、よく出ています。思い出深い学舎(まなびや)にずっと残っていたいという気持ちを、作者はいだいているのでしょう。
ふでばこに思い出たくさんつめる春
下仁田東中3年 高橋絵梨香
【評】中学校の3年間を通して、最も身近な存在だったのが筆箱でしょう。楽しいこともつらいことも、そこにはいっぱい詰まっています。
九年の多くの足跡通学路
下仁田東中3年 高橋 暢人
【評】小・中を通じて9年間、毎日のように歩いた通学路。卒業を控え、惜別の思いが頭をよぎります。
山も川も空も私も春色だ
安中一中3年 須永絵巳香
【評】まわりの自然と一体になって、「春」という季節を謳歌(おうか)している作者。伸び伸びとした書き方に若さがみなぎり、好感が持てます。
背中から期待ふくらむ卒業式
安中一中3年 金井 理美
【評】「背中から」がいい。理屈を超えて、なるほどこんな感じもするなあ、と納得させられました。作者の前途に幸多かれと祈ります。
春の風先を越されて追い越して
安中一中3年 石田 淳史
【評】春風の軽やかさや心地よさが、よく伝わってきます。追い越されたり追い越したりしながら、作者と春風はどこまで行くのでしょう?
先生に呼ばれて覚める春の夢
安中一中3年 小板橋 彩
【評】授業中に居眠りをしていたというのではなく、夢の中に出てきた先生に声をかけられ、そこで目が覚めた、と読む方がよさそうです。
あのころの思い出探すシャボン玉
安中一中3年 田中 絢野
【評】幼いころの回想でしょうか。中学時代の大切な思い出をたどっているのでしょうか。シャボン玉のはかなさに、何だか胸が痛みます。
三月ののほほんたにしはひっこみじあん
安中一中3年 中島 正光
【評】巻貝のタニシが殻に閉じこもっている様子を、「ひっこみじあん」と愉快に表現したのでしょう。
春の道とろとろ猫と散歩する
安中一中3年 田辺 千尋
【評】「とろとろ」に、いかにものどかな春の気分が、よく出ています。歩いていても、眠くなりそう。
雪の中たまに出てくる日の光
水上中2年 阿部 勇馬
【評】雪の多い水上の冬を活写。たまにしか顔を出さない太陽を待ち望む思いと、顔を出した太陽を歓迎する思いが、よく伝わってきます。
立春の朝の輝くひざしかな
妙義中1年 岡野 綾香
【評】立春過ぎに、寒さがぶり返すことがあります。冬に戻ったような冷たい空気の中、夕日で赤く染まった友だちの頬が美しく見えます。
冬の風ゆめをおいかけ動く雲
榛東中1年 福島未来恵
【評】空を流れてゆく雲に、福島さんは自分の思いを重ね合わせたのです。大きな夢を持ち、それを実現するために努力してくださいね。
春の日の輝く水面に波わたる
榛東中1年 佐久間雅美
【評】中七まではよくある表現ですが、「波わたる」は作者の確かな発見。これで、作品が生きました。
卒業をむかえる朝は静かかな
群馬国府小6年 岡田 紫音
【評】悔いのない小学校生活を過ごせたからこそ、心静かに卒業式をむかえられるのです。もちろん、さびしい思いはあるのでしょうが…。
校庭に六年間の姿かな
群馬国府小6年 大山 菜摘
【評】入学から卒業まで、小学校での数々の出来事が思い浮かびます。その思い出の一つ一つが、大山さんの成長の記録でもあるのです。
窓開けて家と一緒に春を吸う
前橋若宮小6年 書上  奏
【評】窓を開けると、みずみずしい春の空気が流れ込んできます。家も書上さんも思い切り深呼吸して、リフレッシュというわけですね。
春風に乗って届いたセーラー服
富岡高瀬小6年 高田由里加
【評】中学校で着る真新しいセーラー服を眺めていると、さまざまな夢や希望がふくらんできたことでしょう。「春風に乗って」がうまい。
ランドセルさくらがほほえみさようなら
藤岡美九里東小6年 持田 知奈
【評】6年間、一緒に学校に通ったランドセルは、持田さんの分身みたいなものでしょう。本当にお疲れ様、とお礼を言いたくなりますね。
ランドセルきつくなったら卒業式
群馬上郊小6年 中山 敬太
【評】入学したてのころと比べ、すっかり体格も立派になりました。ランドセルがきつくて大変だったと思うけど、それもいい思い出です。
春だ春いろんな大会まってろよ
群馬上郊小5年 金井 智浩
【評】金井君は、サッカーに熱中しているようです。「まってろよ」から、意気込みがよく伝わります。