鈴木伸一選

2004年4月13日上毛新聞掲載


最近の夢は暖か朝寝がち
高崎商科大附高1年 大山友里恵
【評】春の暖かさが、夢の中にまで流れ込んでいるのです。春眠の心地よさは作例も多いのですが、夢が暖かいというのは新発見でしょう。
話しこみ笑って帰る揚羽蝶
高崎商科大附高1年 新井美純穂
【評】「揚羽蝶」は作者や友人など、人間の比喩(ひゆ)でしょう。ただ、実際のアゲハチョウが笑って帰るというイメージも、幻想的で捨て難い。
悲しみに沈んだときに桜みる
高崎商科大附高1年 林  智美
【評】美しく咲き誇るサクラに、悲しみを癒(いや)そうというのです。やや感傷的過ぎるかもしれませんが、それも作者の年齢には見合ったもの。
やわらかい風を大きく吸いこめり
赤城養護高2年 岸  昌燈
【評】季節は書かれていませんが、「やわらかい」というのは、やはり春がふさわしいでしょう。清潔感のある伸びやかさが、好印象です。
何もない空に向かって鳴る風鈴
渋川青翠高1年 宮川真理子
【評】風鈴がいくら鳴っても、空は無表情のまま。こんなとき、空の広さがかえってむなしく思えてきます。青春の憂愁を感じさせる作品。
空を見て雲の行方に春感じ
渋川青翠高1年 金井  幸
【評】空を流れる雲も、冬とはどこか違った印象なのです。その行方(ゆくえ)を目で追い、遠くの世界へと思いを馳(は)せる作者の姿に共感しました。
眠らない春一番に眠れない
渋川青翠高1年 桜井 香織
【評】夜になっても、まだ吹き荒れている春一番。激しい風音に、作者は眠れないのです。「眠らない」と「眠れない」、この対比の妙。
歩くたびどんどんふくらむ梅の花
利根商高2年 石田 悠恵
【評】歩くたびに春のおとずれが加速し、それに連れてウメの花も開いてゆく。そんなイメージが素直に納得できる、すがすがしい句です。
春休み部活がなくて家にいる
利根商高2年 林   豊
【評】家にいて、少々時間を持て余している作者。春という季節特有の物憂さも、おのずと出ています。
面接に紅葉且散るキャンパスあり
吾妻町 高碕林禽子
【評】「紅葉且(かつ)散る」は、紅葉しつつ一方ではもう散ること。古典的な季語と、現代の大学風景が融合。