林桂選

2004年4月20日上毛新聞掲載


陽炎を追ってここから歩み出す
太田女高1年 増田  光
【評】現状打開の思いが感じられる「ここから」が持つ意味の重さ。視界が定かでない陽炎へも敢然と向かいます。
ブランコをこぐたび空に溶けてゆく
高崎商大附高1年 神戸 菜摘
【評】「空に溶けてゆく」がうまい。思い切り漕ぐブランコ。その度に思いは空にまで届いているのです。
春の川光が包む金色に
高崎商大附高1年 内田 静佳
【評】「金色に」がうまい。春の陽光に輝く川面のまぶしさが捉えられています。一面金色のベールに包まれたような春の川です。
あの人に思いをよせてる春の空
高崎商大附高1年 樋口  香
【評】「思いをよせてる」という現在の自分の心の確認。「春の空」に向き合うことで、生まれた思いのなのでしょう。
桜好き風にゆれてる桜好き
利根商高1年 中西 佑季
【評】「桜好き」のリフレーンがおもしろい。最初の「桜好き」で思いを起こし、二度目の「桜好き」で思いを確認しながらおさめています。
桜散る地に目落として歩く道
利根商高1年 森下  歩
【評】咲き誇っていた桜から、散り敷く桜に移る視線。しかし、視線を落とすことで、心が動いてしまうこともありますね。
残雪や月夜に光る浅間山
利根商高2年 桑原 将斗
【評】夜の浅間山。月光とそれを返す残雪で闇にほのかに浮かび上がっているのです。浅間山の存在感はこんなところでも感じられます。
春の夜夢に見えるは摩天楼
利根商高2年 小川麻裕美
【評】春の夜の夢の中にそびえる摩天楼。「摩天楼」という語の響きが、この夢を怪しく危ういものに思わせる力になっています。
金かかる国際電話外は雪
利根実高2年(農業留学生) ジャン・パウラ・ヴェルガラ
【評】どんなに離れていても家族は心の支え。初めて見た雪の思いも国際電話で伝えます。パウラさんはフィリピンからの留学生なのです。
コインランドリーは淋し春の暮
吾妻町 桂  夏丸
【評】コインランドリーは、アパートで一人暮らしをする若者などの利用する場。「淋し」は、そんな生活の断片が集まってくるからです。
春燈や叶わぬ恋の数多し
吾妻町 桂  夏丸
【評】湯豆腐に命の果てを見たのは久保田万太郎。春燈に、成就しなかった恋を見るのは夏丸さん。成就した恋より間違いなく多いはずです。