鈴木伸一選

2004年4月13日上毛新聞掲載


卒業の日巻き戻したい白い雲
下仁田東中3年 榊原  望
【評】級友や恩師との惜別の思いを胸に、空を見上げれば、ぽっかりと浮かんだ白い雲。時間が巻き戻せるなら、と痛切に感じる瞬間です。
空見上げ呼ばれる声にふりかえる
下仁田東中3年 伊藤久瑠美
【評】「卒業」とは書いてありませんが、その気分は感じられます。「声」は実際の声でもあり、心の耳に聞こえた声でもあったでしょう。
暖かい日差しが差し込む新校舎
下仁田東中3年 青木香央里
【評】統合で新しくなった校舎に、暖かい春の日差しが降り注ぎます。学校も、そして青木さんも、新たな旅立ちのスタートを切るのです。
机の上ちらばっていた銀河かな
小野上中2年 佐藤 俊樹
【評】壮大な想像力がいい。「一粒の砂に世界を、一輪の野の花に天を見るとき…」(ウィリアム・ブレーク)という詩を思い出しました。
グランドのベンチにすわる春の風
小野上中1年 朝比奈 亨
【評】野球の試合中? 暖かな春風に、肝心の試合も何だかのんびりした雰囲気。ベンチに座るのが作者とも春風とも読めて、おもしろい。
満月のぴかぴか光る願い事
小野上中1年 佐藤紗也加
【評】「ぴかぴか光る」は、満月と願い事の双方に掛かります。大切な願い事を、美しく輝く満月が、きっとかなえてくれることでしょう。
春一番勢い乗って背負い投げ
富岡西中1年 市川 和真
【評】部活か授業かは分かりませんが、いずれにせよ、春到来の大らかな気分が、よく伝わってきます。ユーモアが感じられる点もいい。
堤防を受験控えた友帰る
安中一中3年 柿木 哲也
【評】友人も作者も、心の中は目前に迫った受験でいっぱいなのでしょう。淡々とした口ぶりが、かえって内面の切実さを感じさせます。
桜散る風の向くまま堂々と
水上中3年 木村 聡太
【評】散り際の潔さによって、サクラは古くから日本人に愛されてきました。まさに、この句のように。
新学期楽しさつまるランドセル
群馬上郊小5年 中村 美樹
【評】新しい教科書や文具、それに夢や希望もランドセルにぎっしりつめて、さあ新学期の始まりです。