林桂選

2004年5月4日上毛新聞掲載


秋の星後ろは闇の塾帰り
太田高1年 齋木俊太郎
【評】「後ろは闇の」に、受験期の思いが託されています。前に微かな星の光を受け後に闇を引きながらの模索の日々のひとこまです。
雪解けに青い風船空高く
渋川青翠高1年 川久保瑞穂
【評】青い空に吸い込まれてゆく青い風船。そこに雪が解け、春を迎える空気、季節感を感得しています。感性のよい作品です。
初恋を別霜が連れていく
渋川青翠高1年 小山亜由子
【評】別れ霜に連れてゆかれた初恋は、成就しなかった初恋ということになるでしょう。別れの季節を別れ霜に象徴させての表現は見事です。
春の午後まぶしく白い町の空
赤城養護高2年 新井 健司
【評】春の長閑(のどか)な午後を、「まぶしく白い町の空」で切り取っています。掲示してイメージを喚起するのも俳句の大切な方法です。
春の雲町をすっぽり包みいる
赤城養護高2年 星野 勇人
【評】春の雲。裾(すそ)は霞になって町を包むように広がっています。「包みいる」で春の様子を感じさせることに成功しています。
診察を終えれば梅の香ほのか
赤城養護高2年 島津 克也
【評】医師の診察を受ける前までは緊張で感じられなかった梅の匂(にお)い。ほっとした気持ちに香り出します。微妙な心の動きの定着に成功。
さよならと言えずじまいの白い雪
渋川青翠高3年 千明 裕美
【評】さよならを言う切っ掛けを失ったまま別れた友か片思いの人。白い雪を目に気持ちの整理をしなければなりません。
制服の真新しさに桜かな
利根実高3年 須藤  健
【評】新入生と桜。定番の組み合わせながら、「制服の真新しさ」に焦点を合わせた表現が、成功しています。