鈴木伸一選

2004年5月11日上毛新聞掲載


花吹雪手の中見ても花はなく
高崎片岡中1年 斉藤  恵
【評】「手の中見ても」で、美しくもはかない花吹雪のイメージが、見事に描かれています。斉藤さんの心の中も、おのずと想像されます。
おこられてろうかにたつと花きれい
高崎片岡中1年 須藤 翔大
【評】たとえ廊下に立たされていても、花の美しさに感動できるのはすばらしいこと。須藤君は、きっと純粋な感性の持ち主なのでしょう。
やわらかな春の気持ちと空の色
高崎片岡中1年 川島 佑介
【評】春は、なるほど「やわらかな」という形容がふさわしい季節。こんな気持ちを持ち続けていれば、すばらしい中学校生活が送れます。
窓のそと広がるさきは明日の夢
高崎片岡中1年 佐々木正乃
【評】希望にあふれた新中学生の心の内が素直に表現されており、好印象を持ちました。佐々木さんの夢が実現するよう、私も応援します。
英和辞典片手に持ってる新入生
小野上中3年 佐藤 俊樹
【評】はじめて英和辞典を手にすると、中学生になったことが実感できて、何となくうれしいんですよね。佐藤君も、そうだったでしょう?
青空に桜の花を浮べてみてよ
小野上中3年 野村 美幸
【評】青空にサクラが浮かんでいるだけでは平凡。だれかに向けて「浮べてみてよ」と呼びかけたことで、共感を得る作品となりました。
日曜日眼鏡をかけて本を読む
小野上中3年 中澤 瑞希
【評】中澤さんは、学校では眼鏡をかけないのかな? とすれば、人目を気にせず読書に没頭できるのは、日曜をおいて他にありませんね。
青空に夏がちらつく四月かな
小野上中2年 野村 成美
【評】確かに「四月」という月には、春から夏へ移り変わってゆく微妙な季節感覚があります。それを「ちらつく」によって、うまく表現。
春すぎてチャボの卵の中に夏
小野上中2年 飯塚 仁美
【評】卵の中には、小さな命が息づいています。それは、生命力に満ちた「夏」という季節のイメージに、いかにもふさわしい感じです。
春休みやっと届いたコンタクト
小野上中1年 野村 翔平
【評】何かを待っている時間というのは、やたらと長く感じられるものですね。「やっと届いた」に、そうした思いが正直に出ています。
すいそうにいるカメいまだ名前なし
小野上中1年 小野 瑞穂
【評】このカメは名前がないので、話しかけるたびに、いろいろな呼び名に変わってしまうのだそうです。ユーモラスな内容がいいですね。
桜まうその中みんなであるいたよ
下仁田中1年 大林茉衣子
【評】新しいクラスメートみんなで、花吹雪の中を歩いたのです。こうしたことを通じて、クラスの絆(きずな)はさらに強まってゆくのでしょう。
木々を見て川見て野見て春探し
下仁田中3年 吉田 祐平
【評】「見て」のくり返しが心地よいリズムを奏で、春到来の喜びが素直に伝わってきます。童謡「春が来た」を思い出させる楽しい俳句。
暖かい光を受け取る桃の花
下仁田中3年 永井まゆか
【評】暖かな春の光をいっぱいに浴びて、つややかに咲いたモモの花。「受け取る」が、まるでモモに意思があるかのごとく感じさせます。
真夜中に光求める桃の花
富岡南中3年 山口 大輔
【評】偶然にも、前句と好対照。前句の向日性に比べ、こちらは象徴性がより強い。自己の内面を、モモの花に仮託したということですね。
乗り出して見てるテレビの開花予報
富岡南中3年 富松阿友美
【評】「乗り出して」に、実感があります。サクラ好きの人の多くは、テレビの開花予報を見ただけで、何やらうきうきしてきますものね。
次々と教科書配られ感じる春
水上中3年 中島 諒久
【評】学校生活の中に季節感をとらえた点がいい。特に「次々と」がリアルで、ちょっと困惑したような作者の顔まで見えてくるようです。
飛んでいる追われる蝶と追う心
沼田西中3年 市橋 雅史
【評】チョウを追う自分の心に、もう一人の自分が問いかけています。こんなふうに常に自分の行為をかえりみることは、とても大事です。
遠くから風にゆられる沈丁花
境南中3年 福島美保子
【評】とても美しい作品。ジンチョウゲは小さな花が密生して咲くので、離れて眺めると、全体が薄紅色のかたまりのようにも見えますね。
校庭に桜散りゆく午後の風
境南中3年 小暮 範彦
【評】これも美しい作品ですが、ただ漠然と美しいだけでなく、「午後の風」というふうに、状況をきちんと押さえて書いたのがよかった。
夏近し若葉と私そだちつつ
境南中3年 白石 悠人
【評】自分の成長をみずから感じ、それを屈託なく詠い上げることができるのは、まさしく若さの特権。
初景色たくさんの顔笑ってる
境南中3年 関口 理紗
【評】元日の野外の風景を「初景色」と言います。「たくさんの顔」は、初詣の人達でしょうか。関口さんの脳裡に浮かんだ顔でしょうか。
牛の声隣に白き蝶がとぶ
松井田小6年 上原  茜
【評】「牛の声」と「白き蝶」とがぶつかって、俳句ならではの印象美を生んでいます。どことなく非日常的な雰囲気もあり、惹(ひ)かれます。
夕ぐれに桜のトンネル光ってる
甘楽小幡小6年 高木 里奈
【評】ライトアップされたのではなく、サクラの中にある命が、みずから光を発しているような感じです。美しく、そして幻想的な情景。
鳥たちものどかにすごす春休み
群馬上郊小5年 田村 慧子
【評】鳥達も田村さん達もみんな、のどかに過ごしているのです。いかにも春休みだなあ、と思います。
春の風ツバメをよびにここへくる
沼田小5年 小材 麗加
【評】童話の一場面のような、夢のある作品です。春の風に呼ばれて、ツバメはきっと飛んできますよ。
毎日のきれいな風でさくらまう
沼田薄根小5年 高橋 桂太
【評】目には見えない風を、「きれい」と感じた高橋君。とてもいい感性です。きれいな風に吹かれて、サクラもきれいに空を舞います。
こうえんははるのおとずれまっている
沼田薄根小5年 笛木 勝美
【評】冬の公園は、人気(ひとけ)がなくてさびしいですね。春が来て、おおぜいの子ども達が楽しく遊んでくれるのを、公園はじっと待っています。