林桂選

2004年8月24日上毛新聞掲載


あじさいに仲良くくっつくから2つ
群馬国府小6年 吉田 亜美
【評】「から」は蝉(せみ)のぬけがらとも、カタツムリの「から」とも考えられます。二つの様子に、吉田さんは「仲良く」を見つけています。
テストの日名前忘れる夢をみた
前橋桃川小6年 高橋 卓也
【評】テストが心配で、こんな夢になったのでしょうか。でも、問題が解けない夢ではなくてよかったですよね。
新聞を読んでるとちゅうに猫が乗る
前橋桃川小6年 當銀 祥依
【評】新聞紙に乗り、甘えてくる猫。新聞を読んでいるのを、することがなく退屈している姿と思って、慰めてくれているのかもしれません。
いつもならいやな雨さえすずしくて
前橋桃川小6年 須田 龍斗
【評】あまりの猛暑に、いつもならいやだと感じる雨さえ、涼しさの贈り物のように思えるのです。
木の頭窓から見るとキューピット
前橋桃川小6年 小林 美香
【評】木を上から見るという視点の新鮮さ。それが「キューピット」で示されています。もちろん、このキューピットも上から見ています。
夏休みくると少しさみしいよ
前橋桃川小6年 広岡 麻衣
【評】夏休みには、うれしい、楽しいという気持ち
県大会一度もいけず夏終わる
伊勢崎豊受小6年 風間 裕俊
【評】目指す県大会を前に敗退してしまったのです。小学校最後の夏。残念な気持ちが「夏終わる」にこもっています。
風が光 たいようも光
伊勢崎豊受小6年 松浦エミリオ
【評】自由律句。「風は光」が光として先行し、「たいようも光」と続きます。詩的な逆説表現があります。輝きの世界が浮かびます。
田んぼにも水が入った暑くなる
伊勢崎豊受小6年 浅見 桃子
【評】農家の人は、田に水を張ったり、切ったりして稲を大切に育てます。田に水を張る姿に暑くなるのを見つけています。秀作です。
生ビールのむため早く帰る父
笠懸小6年 清水 祐実
【評】暑い中での一日の仕事。早く帰って冷たいビールを飲むのを楽しみにしている父。父をよく見ていて、愛情のある句。
梅雨のじき初めて見たよ大仏を
笠懸小6年 後藤 美香
【評】初めて見る鎌倉大仏。梅雨空の中に浮かび上がって見えます。屋外の大仏の感じをうまく表現しています。
判なしで今日の水泳水のあわ
笠懸小6年 松井 康葉
【評】家の人の判をもらいわすれた学校のプール。入ることができなくなって、がっかりの松井さん。でも「水のあわ」にユーモアの余裕。
亀の子を兄はいやだとさわらない
下仁田小坂小6年 清水 啓太
【評】お兄さんがなぜさわれないのか分からないくらい亀の子が平気な清水くん。少し得意な気持ちも感じられるゆかいな句。
フワフワと梅雨空まいちるねむの花
甘楽小幡小6年 高木 里奈
【評】「まいちる」は、梅雨空とネムの花の両方に掛かっていそうです。フワフワは梅雨空の感じも、ネムの花の感じも伝えます。
宿題が私の夏空うばうんだ
前橋六中1年 大山  栞
【評】宿題の山が、夏空の下でするはずだった私の様々な活動を奪い去ってゆくと言うのです。宿題の多さを嘆いた多くの句の中で秀逸。
日焼けどめたくさんぬった効き目なし
太田南中1年 齋藤 恭太
【評】要は、日焼けどめが効かないほどに太陽を浴びて、活動していたのでしょう。部活でしょうか、海水浴でしょうか。
グランドでゴールをねらい風になる
太田南中1年 西牧 正行
【評】「風になる」がいい。ゴールゲッターとしてのフォワードの素早い動きを感じさせます。
雲の中小沼に向かって歩く道
太田南中1年 津久井あゆみ
【評】「雲の中」がいい。霧にまかれているのでしょうが、「雲の中」には、赤城を麓(ふもと)から見ているような視点も感じられます。
夏の風ぼくらの顔をひやすのだ
六合中1年 熊川 拓也
【評】「ぼくらの顔」と冷やすところを限定することで、読者に涼しい風の感じを届けることができています。
青き影数えいよいよ新チーム
小野上中2年 唐沢 秀行
【評】夏は三年生が引退し、新チームを作る時期。「青き影数え」に、少なくなった人数と慣れないチームの面影があります。
夕焼けはとんぼを染めて影つくる
六合中3年 山本 麻央
【評】夕焼けとトンボの類句は多いのですが、「影つくる」が、この句のよさです。景色の全体は夕焼けの影の中にあるのです。
涼しげな時を思わす竜安寺
境南中3年 福島美保子
【評】時を「涼しげな」と形容するのは、簡単そうで難しい。「思わす」は自然とそう思うようになるという意味の自発表現。
夏の日に下仁田トンネルすすしげに
下仁田中3年 新井 直人
【評】トンネルを涼しさの対象にしたところが、おもしろい。確かにトンネルの中は涼しい。それをうらやましい場所にするほどの猛暑です。
向日葵がきをつけをしてる青空に
下仁田中3年 下山早百合
【評】ヒマワリの垂直に伸びた姿を「きをつけしている」で表現。多くの人が花に視線が行く中で、その立ち姿に目を向けたのがいい。
水鉄砲年がいもなくうちあって
沼田西中3年 金井 寛子
【評】雪合戦と同じで、段々にエスカレートして気が付くと本気になっているものです。一段落しての思いがこの句でしょう。
潮風に花のにおいがはこばれて
共愛学園中3年 関  博子
【評】「ちるさくら海あをければ海へちる」(高屋窓秋)の句を思い出させます。散り込んだ花が匂(にお)いとなって帰ってきたのでしょうか。