鈴木伸一選

2004年8月31日上毛新聞掲載


かげはかっこう日向はせみ鳴く僕の村
榛東南小6年 内田 洸稀
【評】木蔭ではカッコウが、日向(ひなた)ではセミが鳴いています。すてきな環境で暮らす内田君が、うらやましいほど。「僕の村」がいいですね。
夜の海一人さびしく波ゆれる
榛東南小6年 坂庭  萌
【評】「一人さびしく」には、坂庭さんの心の中も表れているようです。季節は書かれていませんが、夏の終わりごろという感じがします。
いちょうちる秋のさんぽの帰り道
榛東南小6年 佐藤 洋平
【評】特別なことは書かれていません。でも読んでみると、とても豊かな気持ちになります。俳句には、そうした不思議な力があるのです。
花畑私のゆめがさいていた
前橋大室小5年 関野由希菜
【評】文字通り夢のある作品で、読む人を幸せな気持ちにしてくれます。これからもたくさんの夢を持ち、それを大きく咲かせてください。
ひまわりがフワッと咲いて地の太陽
前橋大室小5年 高坂 未来
【評】太陽が空から舞い下りて、ヒマワリの花になったみたい。「フワッと咲いて」は、そんな感じを言ったものでしょう。うまいですね。
なつのそらすずしい風をくださいな
前橋大室小5年 長田  萌
【評】「くださいな」という表現が印象的。猛暑続きだったこの夏は、長田さんと同じように、空に向かって呼びかけた人が大勢いたはず。
夏の空打った打球はホームラン
前橋桃川小6年 青木 耕大
【評】晴れ渡った夏の青空に、大きく弧を描いて飛んでゆく白球。感激の瞬間をあざやかに切り取って、印象に残る作品に仕上げました。
あせがおち空をみたらはれていた
前橋桃川小6年 山田  諭
【評】地面にぽたりと汗が落ちます。ふと見上げれば、青く晴れ上がった空が広がり、山田君はあらためて夏という季節を実感したのです。
ひまわりを見れば元気がわいてくる
前橋桃川小6年 品川 桃子
【評】すっくと伸びたヒマワリを見ていると、なるほどこちらまで元気になってくるようです。この調子で、暑い夏を乗り切りましょう。
パレットに青が一色青い空
前橋桃川小6年 堤  菜摘
【評】空そのものが、まるで一つの大きなパレットのようです。季節はいかにも夏という感じなので、下五を「夏の空」としてもよかった。
えんぴつが小さくなって夏休み
前橋桃川小6年 品川 珠緒
【評】小さくなった鉛筆は、1学期にいっぱい勉強した証(あか)し。夏休みをむかえる弾んだ気分と共に、鉛筆への感謝の思いも感じられます。
始まるぞ小学校最後の夏休み
前橋桃川小6年 黒沢 仁美
【評】最後でさびしいという思い、最後だから悔いのない夏休みにしたいという思い。「始まるぞ」は、いろんな思いがこもった言葉です。
流れ星そっと願ってねていたよ
前橋桃川小6年 八木原 忍
【評】床(とこ)についた後も、八木原さんのまぶたの裏には、流れ星の光が消えずに残っていたでしょう。こんな夜は、いい夢が見られそうです。
ねむたいなプールがおわった後の授業
前橋桃川小6年 広瀬  慧
【評】泳いだ後って、なぜかすごくねむたくなるんだよね。私も身に覚えがあるから、広瀬君の正直な気持ちは、とてもよく分かります。
サイダーはすいそうの中の水みたい
前橋桃川小6年 小野里 彩
【評】サイダーの泡を眺めていると、なるほど小野里さんと同じような気持ちになってきます。透明感のある涼しげな俳句でいいですね。
熱帯夜月見草だけ涼しそう
甘楽小幡小6年 高木 里奈
【評】今はオオマツヨイグサなどをツキミソウと呼んでいますが、楚々(そそ)としたその花は、確かに熱帯夜でも涼しげな風情(ふぜい)を漂わせています。
カーテンを開けたらそこは夏の空
群馬上郊小6年 友松茉莉子
【評】朝、カーテンを開けた瞬間に、目に飛び込んできた夏の空。もちろん、青空でしょう。「そこは」という言葉に実感がありますね。
夏休み指揮をしている猫の尾や
小野上中3年 佐藤 俊樹
【評】ネコが尾を左右に振っているのを指揮に見立て、興じてみたのです。のんびりした夏休みの一日という感じが、よく伝わってきます。
緑こく風を笑うや森の色
小野上中2年 飯塚 仁美
【評】「風を笑う」というのは、なかなか詩的な表現で、読み手の想像力を刺激します。ただ、全体の表現にはまだ推敲(すいこう)の余地がありそう。
夕やけをむぎ茶くみつつのぞいてみる
下仁田中3年 今井 英里
【評】冷たい麦茶でのどを潤(うるお)し、夕焼け空を眺めます。いかにも夏の夕暮れという雰囲気に、「のぞいてみる」という表現が効果的です。
夏の空乾いたTシャツカラリと光る
下仁田中3年 並木こずえ
【評】まぶしいまでのすがすがしさに満ちた作品。夏の青空を背景に、干されたTシャツが風に光ります。これは絶対に白いシャツですね。
朝曇考えふくらむ授業中
下仁田中3年 高橋 香菜
【評】朝曇の空に似て、作者も何となくすっきりしない気分なのでしょう。授業を受けていてもつい、いろんなことを考えてしまうのです。
炎天下吹きぬける風追いかける
下仁田中3年 茂木 彩香
【評】うだるような炎天下を、一陣の涼風が吹き抜けていったのです。思わず追いかけたくなったというところに、たいへん共感しました。
友達と卒業前に花火する
境南中3年 田部井 潤
【評】卒業前になったら友だちと花火をして別れを惜しもうと、今から心に決めているのです。そのためにも、残りの中学校生活を大切に。
夕立後地面に広がる夏の空
安中一中3年 広瀬 仁敬
【評】夕立の後、地面にできた水たまりの一つ一つに、夏の青空が映っているのです。天も地も、すがすがしい気分に満ちあふれています。