林桂選

2004年9月21日上毛新聞掲載


ヒマワリの高さに自分見えなくて
高崎北高1年 坂本 直柔
【評】「自分見えなくて」はやや難解。しかし、内面的な葛藤(かっとう)の表現であることは間違いなさそうです。
下駄箱に上履きひとつ夏休み
高崎北高1年 吉田 伸也
【評】持ち帰るのを忘れられて、ぽつんと一つある上履き。そこに夏休みらしさを発見しています。視点がいい作品です。
新聞のスポーツ欄が増えた夏
高崎北高1年 北原絵里奈
【評】オリンピックに高校野球。夏のスポーツの盛んなさまが、そのままスポーツ記事欄の増加に繋(つな)がった夏でした。
力こぶも作れないあなたの力じゃ夏は無理
高崎北高1年 箱田  涼
【評】誰に言っているのでしょう。「夏」はスポーツの夏の大会の省略表現のように思えます。まだ力不足だよということなのでしょうか。
一日中うちわを持って過ごす日々
高崎北高1年 外山 裕美
【評】「一日中」が「日々」続くのです。今年の夏の厳しさを、団扇(うちわ)を持ち続ける滑稽(こっけい)な姿として描写。愉快な句です。
打ち水の地面のはながしぼんでく
埼玉熊谷女高1年 野村友香里
【評】打ち水を「地面のはな」と見たてたところがいい。見る見る蒸発して小さくなってゆく様は、「しぼんでゆく」と表現されます。
八月のカレンダーはめくらない
埼玉秩父高2年 亀山 仁美
【評】過ぎ去る八月を惜しむ気持ちと、学校と違ったタイムスケジュールの夏休み感覚と、その両方を伝える「めくらない」です。
過ぎる夏あなたの影はまだ消えず
埼玉秩父高2年 大久保尚郁
【評】「あなたの影」は面影。大切な夏の思い出として、胸に残り続けるものなのです。
空に吸はれるなんてこわいぢゃないか
埼玉秩父高2年 強矢 晴香
【評】石川啄木の「空に吸はれし十五の心」を踏まえます。「こわいぢゃないか」のコメントは秀抜。惹(ひ)かれる一方で、確かに持つ心の様です。
湯あがりや深山の風と沢の音
埼玉秩父高2年 山本 悠尋
【評】深山幽谷の秘湯の佇(たたず)まい。山をわたる風に吹かれ、沢の音を聞いて、湯上がりの火照(ほて)った体を冷まします。
秋の灯のこぢんまりして無人駅
吾妻町 桂  夏丸
【評】最終列車も過ぎてしまった深夜の無人駅の佇まい。「こぢんまりして」がいかにも無人駅。上手(うま)い。