林桂選

2004年10月5日上毛新聞掲載


ひと夏の思い出語る水着あと
前橋大室小5年 山本瑠璃子
【評】プールに通い、海にも行ったのでしょうか。日焼けの後が夏休みの勲章。色々な思い出をよみがえらせてくれます。
プール行き毎日ふやけた夏休み
前橋大室小6年 島  沙槻
【評】手や足が白くふやけて、しわしわになるまで、長い時間プールに入っていたのです。プールを思い切り楽しんだことが分かります。
海にはね夕日の道が続いてる
前橋大室小6年 加藤 美沙
【評】夕陽の色が海に落ちると、それが夕陽から加藤さんのところまで続いている道のように見えるのです。赤いステキな道です。
あかとんぼ静かなプールを一人じめ
群馬上郊小6年 中村 美樹
【評】閉鎖されたプール。生徒の姿のなくなったプールを赤トンボが一人占めして楽しんでいます。秋になったのですね。
夏休み終わりを指で数え出す
下仁田小坂小6年 長岡 里菜
【評】いよいよ夏休みも残りわずか。指折り数えては、残りの予定やら宿題やらの計画を練り直す必要がでてきました。
新しいぞうきんしぼって二学期だ
前橋桃川小6年 広瀬  慧
【評】新しい学期がはじまって、大掃除も新しいぞうきんで始めます。気持ちも新しくなっていることでしょう。
湯畑に息まで白い夏休み
前橋桃川小6年 水出 奈美
【評】夏休みに草津に行ってきたのでしょう。湯畑の湯気の盛んな様子を「息まで白い」で表現。すぐ近くまで来ている湯気の感じがします。
秋の風たぶの木までよろこんでる
前橋桃川小6年 小鮒 尚輝
【評】厳しい夏を乗り切って、秋風に葉をまかせているタブの木。涼しい季節を喜んでいるように見えるのです。
テディーベア形がかわりすわれない
前橋桃川小6年 山口 真澄
【評】お座りができるテディーベアだったのが、いつの間にかできなくなってしまいました。きっと長い間一緒に遊んだからでしょう。
ふん火した浅間山は私の団
前橋桃川小6年 當銀 祥依
【評】運動会の季節。浅間団になった當銀さん。浅間山の噴火も、何か自分のことのように感じられるから不思議です。
なしむきでむいてもむいてもつながらない
前橋桃川小6年 小沢 宏信
【評】リンゴと違うナシの皮の質感を「つながらない」で表現しています。つい厚くなったり薄くなったりで、切れやすい皮です。
目の中が霧でいっぱい森の中
高崎片岡中1年 渡辺はるか
【評】霧に包まれた森の中。「目の中が」が面白い。森にあふれるのと同じ量の霧が、それを見ている目の中にもあふれます。
散歩道一輪遠く彼岸花
高崎片岡中1年 斉藤  恵
【評】散歩道に咲く彼岸花。幾本かが群れになっていますが、1輪だけ離れています。いかにも彼岸花の咲き方です。
秋の原とんぼがゆうひとんでいる
高崎片岡中1年 五十嵐晃貴
【評】すでに類句が書かれていそうですが、低くなる夕陽と、高く飛ぶ赤トンボの関係が「ゆうひとんでいる」で表現されてます。
運動会練習の声が教室へ
高崎片岡中1年 小野里翔太
【評】違うクラスの運動会練習の声が教室に入ってきて、気もそぞろ。勉強に集中できません。運動会前の気持ちが伝わる句です。
窓のおく三日月映し夢を見て
高崎片岡中1年 貝瀬里恵奈
【評】窓の奥に映える三日月。「夢を見て」は就寝の様子とも読めますが、三日月から広がる童話的な世界の想像と読んだ方が面白そう。
部活動体がひえる秋風で
六合中2年 山崎 由衣
【評】部活動の後の体を冷やす風に秋を感じ取ったのです。季節感を身近な生活の場で発見できています。
大会が終わった後の秋の空
前橋六中2年 保坂 龍彦
【評】大会が終わってシーズンオフに入ったのでしょう。「秋の空」に心の切り替えを迫られている姿が投影されているようです。
帰りぎわ何かが違う秋の空
前橋六中2年 生形 駿一
【評】一日の学校生活が終わって見る余裕のできた空。そこにすでに秋の気配が漂っていることに気がつきます。微妙な心の動きの表現。
落ち葉ふむ音に合わせて風がふく
小野上中2年 長久保徴子
【評】落ち葉を踏む音が支配しているような静寂の空間。風もその音に合わせて吹いているように感じられるのです。
山登り団栗落ちる榛名山
小野上中2年 中沢 奈美
【評】山登りに心弾んでいる様子が、「団栗(どんぐり)落ちる」で描かれています。「よころべばしきりに落つる木の実かな」(富安風生)があります。
美しきキャンプファイヤーここにあり
小野上中2年 野村真奈美
【評】友だちと囲むキャンプファイヤー。「美しき」「ここにあり」は、友と一緒にいることの喜びの発見でもあります。
夏休みうまくできない風船ガム
小野上中3年 佐藤 俊樹
【評】上手(うま)くふくらまないチューインガム。そこに夏休みの生活が思うに任せない自分の姿を重ねているようです。
夏の空見あげて星を数えては
富岡南中3年 塚田真梨菜
【評】「数えては」の後に、ため息をついている姿が想像できそうな句です。満たされない思いが星を数えさせているようです。
夏祭り花火上がって町光る
下仁田中3年 新井 直人
【評】花火の光の照り返しで町が光っていると言います。誇張表現に違いありませんが、花火の明るさと鮮やかさを想像させる力があります。
青い空行ったり来たり赤とんぼ
境南中3年 田島 佳奈
【評】「行ったり来たり」に赤トンボの様子がうかがわれます。「青い空」で、比較的高いところを飛んでいる姿も想像されます。
冷蔵庫林檎ないかとのぞきこむ
境南中3年 剣持 直弥
【評】冷蔵庫に冷たいものを探す夏から、果物を探す秋になったのです。具体的な「林檎」という言い方が効いています。