林桂選

2004年11月9日上毛新聞掲載


雨の日はかさもいっしょにおかいもの
前橋桃川小6年 蟻川 景介
【評】カサをさしてゆく雨の日の買い物。カサにしてみると、一緒に買い物にゆけるめったにないチャンスです。
晴れの日は山が大きくたっている
前橋桃川小6年 品川 珠緒
【評】「大きくたっている」がうまい。秋晴れの深い空をバックにすると、山も一段と立派に大きく感じられます。
運動会いろんな旗が花のよう
前橋桃川小6年 高橋 裕子
【評】運動会のグランドに掲げられる万国旗。空に花がさいたような鮮やかさで、運動会の気分も盛り上がります。
雨の日の子供はいつもぬれていた
前橋桃川小6年 岡村理沙都
【評】傘をさしてもカッパを着ても、子どもは濡れてしまうのかもしれません。子どもは濡れることが嫌いではないからでしょう。
カーテンがさむさに負けてくちゃくちゃに
前橋桃川小6年 石嶋 紘大
【評】カーテンのひだも、季節によって見え方が変わるから不思議。寒くなると、寒さにこごえているように見えてきます。
ひつじぐも見てたらセーターほしくなる
前橋桃川小6年 鯉渕 杏子
【評】羊雲から羊毛、そしてセーターを連想したのかもしれません。でも、羊雲は秋の雲。寒さに向かう季節の雲です。
かけ声がどんどんはやまる三人四脚
前橋山王小6年 岩井 克帆
【評】息があってどんどん速くなる三人四脚のようすを、かけ声で表現しました。生き生きとした描写になっています。
雲ゆれてふきぬける風秋の風
伊勢崎豊受小6年 小林 優作
【評】「雲ゆれてふきぬける」のですから、この秋の風は強い風でしょう。肌にも冷たくなって、季節が急いで変わってゆきます。
おばあちゃんぼく真けんに走ったよ
榛東南小6年 内田 洸稀
【評】お祖母さんへの運動会の結果報告。順位ではなくて、真剣に走ったことが報告の第一位。とてもいい報告になっています。
秋の陽は真っ赤でどこかさびしそう
榛東南小6年 阿部千恵美
【評】「真っ赤」という色に寂しさを見つけたところがいいですね。元気な色だと思っていた赤にも、寂しいときがあったのです。
どんぐりに顔書き並べ父と母
高崎片岡中1年 山中 咲乃
【評】父と母の顔を作ろうとしたのではなく、二つ並べてみるて父と母に似てたのに気がついたのでしょう。遊びの顔書きによくある発見。
天高く舞う雁たちのマスゲーム
高崎片岡中1年 飯塚 喬子
【評】列をつくり、その列を様々に変化させながら天高く渡ってゆく雁。確かにマスゲームをやっているようですね。
雨ふれば秋を呼んでる音になる
六合中1年 山本 俊輔
【評】一雨毎に秋が深まるのです。雨音が冷たく感じられます。その音に秋はしみじみと実感されるのです。
燃える陽に焼かれるような赤とんぼ
六合中1年 山口 清華
【評】秋の夕陽の近しい距離感を、「焼かれるような赤とんぼ」で表現。いかにも、西の空を一面に染める秋の夕陽の感じです。
サルビアがゆれる風ふく午後の庭
小野上中1年 佐藤 莉奈
【評】夏から秋まで咲き続けるサルビア。その花を吹く風も秋めいてきたことでしょう。さわやかな午後を感じさせてくれる庭の風景です。
声合わせ秋風で飛ぶ長縄や
小野上中2年 唐沢 秀行
【評】気持ちを合わせるために合わせる声。長縄飛びの練習風景です。運動会の練習でしょうか。秋風がさわやかです。
うわばきの白さも目立つ月曜日
小野上中2年 長久保徴子
【評】持ち帰った上履きを土、日曜日に洗ってきたのでしょう。すこし誇らしいような白さに、一週間の始まりへの思いが重なります。
帰り道稲刈りしてるお父さん
妙義中2年 清水 卓見
【評】下校の道すがら、稲刈りをするお父さんに出会ったのです。思わず見つけた働くお父さんの姿に、感謝の気持ちが湧いてきます。
稲光夜空にかがやく道一つ
妙義中2年 丸山 賢一
【評】稲光が夜空を明るくして、一瞬闇に道が浮かびあがります。心象的で重厚な句。一本道を稲妻の比喩(ゆ)とも読めますが、それでは少し陳腐。
教科書に入り込んでた秋の風
小野上中3年 佐藤 俊樹
【評】教科書を開いたときに感じる秋気。まるで教科書に隠れていたようです。学ぶことの寂寥(せきりょう)感もどこか漂います。
校庭に降るたくさんの秋雨かな
下仁田中3年 吉田 祐平
【評】校庭の広さの分だけ、雨の降る範囲に見通しがききます。そして、その分だけたくさん降る感じもしますね。
畑横大量発生彼岸花
沼田西中3年 澤浦亜里沙
【評】なぜこんなところにという場所に、花茎だけで真っ赤に固まって咲くマンジュシャゲは、確かに突然の大量発生の感じがありあます。
登り坂すれちがう人の風感じ
富岡南中3年 塚田真梨菜
【評】すれ違う人に風を感じるのは、空気が冷たくなってきた証拠。すれ違う相手が坂を下りる人で、少し速いだけでも強く感じる寒さです。
山々にひびく寒さよ秋の朝
六合中3年 西山 貴枝
【評】「山々にひびく寒さ」の上手さに感心。空気が澄み冷えてきた晩秋の山の雰囲気をよく捉(とら)えています。