林桂選

2004年11月23日上毛新聞掲載


朝おきる寒さがぼくのめざましだ
下仁田小坂小6年 山田 浩大
【評】「めざまし」は「目覚まし時計」の省略形。朝の寒さで目が覚める季節。秋もいよいよ深まりました。
コスモスの花びらかげもちっている
下仁田小坂小6年 神戸詩央里
【評】繊細なコスモスの花びらの感じをうまくとらえています。花びらが散るということは、たしかにその影も散るということですね。
水たまり楽器が映る鼓笛隊
前橋桃川小6年 高橋 卓也
【評】雨上がり直後の鼓笛隊。水たまりに映った姿まで晴れやかで誇らしげ。晴天でなくても、頑張る姿はいつも誇らかです。
金色にかがやく太陽トランペット
前橋桃川小6年 八木原 忍
【評】トランペットに映った太陽。その色をもらって金色に輝いています。これも鼓笛隊でしょう。晴れやかな気持ちが伝わります。
運動会くりごはん食べ一等賞
新田綿打小6年 原  直之
【評】楽しかった運動会のようすが、伝わってきます。おいしかった栗ご飯。がんばってとった一等賞。どれも思い出の宝物です。
秋の夜大はんらんの天の川
小野上中1年 木暮 孝薫
【評】秋の澄んだ空気の中で、鮮やかに輝いて見える天の川。それを「大はんらん」とたとえました。上手(うま)い。
ナイターの光りに集まる落葉かな
小野上中2年 朝比奈明子
【評】ナイターの光りが及ぶ範囲の中を舞う落葉。その外に舞うのは見えません。それを「集まる」と表現しています。上手い。
栗ご飯秋晴の熱が混ざってる
小野上中2年 佐藤 絵理
【評】「秋晴の熱が混ざってる」が上手い。こう言われると、栗の味、美味(おい)しさは、秋晴の味のように思えてきてしまうから不思議。
友の目に映って青し秋の空
小野上中2年 唐沢 秀行
【評】深い秋の青空。空を見つめる友の目にも青は広がっています。目という小さな世界に取り込まれることで、空の青さは一層際だちます。
飛ぶ鳥と落葉の影が重なって
小野上中2年 中澤 奈美
【評】影になると鳥も落葉も同じように見えてしまいます。「重なって」が上手い。影に還元された鳥と落葉に類似を見つけています。
稲見てるぼくのとなりに赤蜻蛉
吉井中央中2年 鈴木 香世
【評】まるで一緒になって同じものを見ているとでも言いたげな赤トンボの姿。稲も実りの季節を迎え、視線を引きつけます。
「久しぶりェ」残暑がきつい登校日
吉井中央中2年 松本 理瑠
【評】立秋を過ぎての登校日。でも夏はまだ盛りといった感じです。久しぶりに交わすあいさつの言葉につけた「ェ」が元気な証拠です。
下校中霧にかくれる私の家
六合中2年 山本  栞
【評】霧にまかれて見えない家路、そして家。秋の山道の幻想的な感じがします。こんなステキな通学路を持っている人はまれでしょう。
無花果をつつく小鳥が楽しげに
富岡南中3年 飯塚 彩音
【評】素直な「楽しげに」の表現が、小鳥の様子を表すには一番だったのでしょう。活発に動く姿が思い浮かびます。
さわやかにちょっと切ないソーダ水
富岡南中3年 佐藤 将也
【評】「ちょっとせつない」に、十代のソーダ水へのイメージが投影されています。鮮やかな色、そしてはかない気泡のツブツブ。
シャーペンにふれた指先寒さ増す
小野上中3年 唐澤 聖美
【評】金属性のものは、触れると冷たく感じるものです。その感覚に寒さに向かう季節を理解する一瞬。「寒さ増す」がそれでしょう。
吐く息も白くなりつつ朝日かな
小野上中3年 金子 裕明
【評】朝日の昇るのも少しずつ遅くなり、吐く息も少しずつ白くなる向寒の季節。「つつ」の使い方が巧みです。
授業中りんごノートに書いてみる
下仁田中3年 今井 英里
【評】字余りになっても「りんごを」にしたいところです。落書きにも季節感があるという意味で面白い発見があります。
冬近し猫のぬくもり腕に抱く
境南中3年 関口紗也香
【評】「猫」でなく、「猫のぬくもり」を抱くというレトリックが、うまく「冬近し」の感覚に還ってゆきます。技巧に優れた作品です。
まるまると光沢放つ林檎かな
境南中3年 新穂 偉文
【評】「光沢放つ」が上手い。言葉でリンゴを写し取ろうとしたら、こうなるでしょう。短い言葉で本質をつかみ取る力は俳句の魅力です。