林桂選

2004年12月7日上毛新聞掲載


かきの実がほおをひからせ笑ってる
前橋大室小5年 高坂 未来
【評】「ほおをひからせ」がうまい。カキのつやつやした感じも、ふっくらした形も、上手に表現しています。
最きんはみんなの服があったかそう
前橋大室小5年 栗原 幸花
【評】寒くなって、友達の服装も、急に暖かそうな冬のものに変わってきます。その服装に寒い季節がやってきたことを感じとっています。
秋風とダンスしながら下校する
前橋大室小5年 山本瑠璃子
【評】秋風が巻き上げる木の葉、揺らす小枝。そのリズムに合わせて、体も動いてしまうのです。楽しい下校のひとこまです。
秋の朝たきびのにおいくしゃみ出る
前橋大室小5年 亀井 冬菜
【評】たき火の鼻をつくにおい。思わずくしゃみがでてしまいます。いろいろな木の葉、木の枝がいろいろなにおいを出しています。
どんぐりは勇気があるなあ落ちるとき
前橋大室小6年 内藤 友希
【評】木の枝の高いところから落ちてきたドングリ。自分ならとても下りられそうもない高さです。小さなドングリに見つけた大きな勇気です。
くらい夜りんご畑で犬がなく
下仁田小坂小6年 茂木  淳
【評】リンゴ畑の番に犬をおくのです。動物の被害、泥棒よけの仕事です。でも、この鳴き声は、心細さを訴えてのもののようです。
秋の風はだにしみこむ遊歩道
前橋桃川小6年 高橋 卓也
【評】「はだにしみこむ」がいい。肌寒くなるという言葉があります。遊歩道を歩いて受ける秋風はその言葉を実感させます。
ほしたてのふとんの中は春の中
前橋桃川小6年 品川 珠緒
【評】干して暖かくなったふとん。その中はまるで春のようです。ふとんの暖かい幸せな気分まで、「春の中」は表現しています。
アキ風にふかれてあそぶ小鳥がいる
前橋桃川小6年 角田 春樹
【評】「あそぶ」で切るかどうかで違います。切れば遊ぶのは「作者」、切らなければ「小鳥」です。遊んで小鳥を見つける前の方が面白い。
大きな木つるがかかりゆうれいだ
前橋桃川小6年 小林 祐也
【評】大きな木をおおいつくしたツル。藤か葛(くず)でしょう。幽霊みたいというのが面白い。昼もうっそうとして暗いのでしょう。
たき火して炎が秋の色なのか
前橋桃川小6年 須田 龍斗
【評】炎にも季節を感じる人がいても不思議はないかもしれません。とくに焚き火ならば、一層秋の色が感じられることでしょう。
たくさんのぶ厚い雲が空を巻く
前橋桃川小6年 小原 真美
【評】冬の空の雲でしょう。そのうちに雪でも降ってきそうな天候です。「空を巻く」の表現がうまい。一面の雲の感じがでています。
森の中寒いとさわぐ枯れ葉達
高崎片岡中1年 小野里翔太
【評】枯れ葉が乾いた音を出しているのは、寒い寒いと騒いでいるからだと見たてました。季節の傾きの急なのが秋から冬です。
山茶花は赤く染まって日をつかむ
高崎片岡中1年 花垣 佳輔
【評】「日をつかむ」へのイメージの飛躍がいい。「赤く染まって」は、山茶花(さざんか)の花の色であるとともに、夕陽の色でもあるのでしょう。
降り続く雪に顔出す街の屋根
高崎片岡中1年 松井 聡美
【評】「雪に顔出す」という見方が面白い。雪にすっかりおおわれた街では、屋根が空に突き出た顔のように見えるのです。
小春日が砂場の土を暖める
高崎片岡中1年 青梅 友樹
【評】小春日を視点のよい切り取りで描いています。「小春日や石を噛みゐる赤蜻蛉」(村上鬼城)を思い出させるものがあります。
あたたかい父の手握る冬日和
高崎片岡中1年 酒本 夏実
【評】冬の寒さの中で、思わず手をつないだ父の手の暖かさ。それは父の存在の暖かさの発見でもあったでしょう。
日光に光りをもらい写生かな
小野上中1年 野村 詩織
【評】秋の写生大会でしょうか。画用紙の上に落ちる秋の日のまぶしさまで目に浮かぶような句です。紅葉した山々にも、日が輝きます。
明け方は夜より強い秋の風
小野上中1年 野村 政貴
【評】「夜より強い」で、夜も風が吹いていたのが分かります。その風音が、明け方一層強まるのです。秋の寂しさを感じさせる句です。
新しいはさみの切れ味冬の空
小野上中2年 朝比奈明子
【評】「冬の空」との取り合わせが巧みです。ハサミの鋭利な切れ味と詩的に響きあいます。感覚のよい作品です。秀作です。
朝の風川を渡って遊びけり
小野上中3年 唐沢 聖美
【評】風はどこか気ままな感じがします。障害物のない川を遊び場にしている風。いかにも風らしい遊び場です。視点のいい句です。
暗くなる校舎の角の燕の巣
小野上中3年 野村 大樹
【評】校舎の角に作られた燕の巣。もう燕はいません。秋の早い日がその角の巣から暮れてゆきます。寂しい心象風景とも思われます。
雨あがり光がそっとふきつける
六合中3年 大塚 美紀
【評】光を「ふきつける」としたところが面白い。一般的には「射す」でしょう。でも、この表現で光が霧のようにイメージされて新鮮です。
暖房をつけて集まる自分かな
境南中3年 佐藤 雄基
【評】自分は単数だから、普通集まるといいません。集まるには複数が必要。だから、暖房を求める自分がたくさんいる面白い句になりました。