林桂選

2004年12月21日上毛新聞掲載


川の石落葉着かざる衣がえ
下仁田小坂小6年 石井 沙季
【評】ぬれた川の石にはりついている紅葉。まるで石が着飾っているように見えます。「衣がえ」の見立てがゆかいです。
まっかな秋もみじの間をとおってく
前橋若宮小6年 斉藤 健哉
【評】「白秋」といいますが、斉藤くんの秋は真っ赤。この秋が通ると、紅葉も赤に染まるのだと見ているのです。
登校班寒くてポッケに手を入れる
前橋桃川小6年 青木 耕大
【評】登校班での登校。寒さでみんな手をポケットに入れています。いつものにぎやかな話し声もなさそうです。いよいよ冬です。
しゅくだいがおわったあとにホットミルク
前橋桃川小6年 ウォリス慶太
【評】宿題をやり終えた自分へのごほうびのホットミルク。暖まる体とともに、やり終えた充実感の中にいます。
自転車のカゴに落ち葉がこんにちは
前橋桃川小6年 福本 悠介
【評】落ち葉の季節。自転車のかごにも、落ち葉が入っています。落ち葉が、かごにあいさつにきたようなようすで収まっています。
走ってる時より苦しいすわったら
前橋山王小6年 木村ひらり
【評】持久走大会。走り終えてからの方が、走っているときより苦しく感じられるというのです。持久走の大変なようすがうまく書けています。
あと一周なのに音楽なり終わる
前橋山王小6年 細野 由依
【評】持久走大会で、校庭を何周も回るのでしょう。励ますための音楽も途中で終わる長さです。苦しい思いが更に増す一瞬です。
コーヒーもいいなと思う蔦紅葉
松井田小6年 上原  茜
【評】蔦(つた)も紅葉して、寒さが増してゆく季節。暖かいコーヒーがおいしく感じられるようになります。少し大人気分の上原さん。
登校中雨のにおいも金木犀
前橋四中1年 書上  奏
【評】金木犀(きんもくせい)の季節の雨まで、金木犀の匂(にお)いがするというのです。強い匂いの金木犀らしさが感じられる作品です。
新しいノートを重く感じる日
小野上中1年 飯塚 泰志
【評】「重く感じる」は、心理に色々なことが考えられそうです。ノートが新しくなったというだけで、さまざまな思いが生まれます。
雨の日に影はぬれたか分からない
小野上中1年 後藤 栄貴
【評】雨の日では影もはっきりしないでしょう。そして、影は濡れているのかどうかも不明です。着眼点が面白い句です。
ラケットをふって感じる秋の風
小野上中1年 樋田 亮介
【評】ラケットを振ってきる風の中に、秋が感じられるというのです。季節を見つけ、感じるのは、それぞれの日常の中からです。
僕よりも寒げにしてる山々だ
六合中1年 篠原 明人
【評】確かに冬は山の風景からはじまります。遠くの山が雪をかぶりはっきりみえてきたら冬。冬の季節のトップランナーです。
父の背を思い出させるコートかな
高崎片岡中1年 提箸  太
【評】父の背中にそっくりなコート姿。街頭の中で見つけたのでしょう。確かにコートの後ろ姿が、作り出す表情というものがあります。
コート着て買い物にゆく家族かな
高崎片岡中1年 佐俣ありか
【評】寒くなると、外出するのにも決断のようなものがいります。コートを着ることは、その気持ちを固める儀式のように見えてきます。
桜の木枯れ葉が落ちる幼稚園
小野上中2年 飯塚 仁美
【評】桜の花がいっぱい咲く幼稚園なのでしょう。しかし、今は落葉の季節。幼稚園に寂しそうな風景を見つけたところが、手柄です。
通学路いねのほ消えたさびしさに
小野上中2年 佐藤 克紀
【評】「さびしさに」の結び方が上手(うま)い。この言い差しの表現がいかにも頼りない心の反映のような感じがします。
手を合わせつめたさ比べる冬の朝
小野上中2年 中沢 奈美
【評】誰の手が一番冷たいか、手を合わせて比べっこです。なんでも遊びにすることができるのも、子どもの才能です。
稲の穂の甘い香りが心をいやす
月夜野中2年 真庭 香納
【評】「甘い香り」がいい。稲穂が本当に甘い香りがするかどうかではなく、この表現の中に陽(ひ)の匂いが感じられるのです。
学校の帰り道には雪虫だ
六合中3年 安カ川未来
【評】雪が訪れる前に雪のように飛ぶ雪虫に、雪の降る季節が近いことを思い胸高鳴ったものでした。最近は見る機会も減ってしまいました。
うろこ雲サッカーボール包み込む
六合中3年 篠原 真理
【評】高く蹴(け)り上げられたボールか、グランドに忘れられたボールでしょう。秋の雲と、ボールだけの世界。「包み込む」が効果的。
青空は玻璃のごとくと澄み渡る
小野上中3年 金子 裕明
【評】ガラスのように澄み渡る青空。暖かい夏の空より、やはり寒い冬の空を思わせます。季語はありませんが季節感があります。
透明の矢がつきささる水たまり
小野上中3年 野村 大樹
【評】日に輝く水たまりは、確かに光の矢を放っているように見えるときがあります。雨上がりの明るさも感じさせます。
柔道ぎすみに置かれて冬きたる
小野上中3年 野村 美幸
【評】部活を引退して、受験勉強に向かっているようすをうまく描いています。「冬きたる」に、受験に向かう意識が読みとれます。
消しゴムで冬の寒さを消したいよ
富岡南中3年 平井 優也
【評】消しゴムは、消去するための最も身近な存在なのです。消しゴムへの信頼の中に、消しゴムとともにある学校生活が感じられます。
あざやかな葉牡丹咲けば冬来る
境南中3年 金井 千奈
【評】葉牡丹(はぼたん)に感じる冬の到来。確かに花ものが少なくなりがちな冬の季節では、その鮮やかさは貴重で、目をひきます。
ありえない大根しかないうちのおでん
境南中3年 大島 誉史
【評】これはおでんではなく、「風呂吹(ふろふき)」でしょうね。冬の季語にもなっています。大根好きには冬のご馳走(ちそう)なのですが。