鈴木伸一選

2005年1月19日上毛新聞掲載


友達とまぁるくなって話す冬
前橋大室小5年 高坂 未来
【評】「まぁるくなって」に、冬らしさがよく出ています。寒いんだけど、心の中はあたたかいという感じもして、いいなあと思いました。
冬のよる星空きれいにさいている
前橋大室小5年 佐藤 陽一
【評】普通、星空が「咲く」とは言いません。でも、俳句でこう表現されると、納得できてしまいます。佐藤君の発見があるからなんですね。
冬の朝いつものようにさわがしい
前橋大室小5年 亀井 冬菜
【評】朝の教室風景かと思いますが、寒くても、みんな平気でさわいでいるのです。多少さわがしくても、こういう元気なクラスがいいなあ。
外はもう大きな大きな冷蔵庫
前橋桃川小6年 小林 祐也
【評】外に出ると寒くて寒くて、まるで大きな冷蔵庫の中にいるようだというのです。冬の季節感が、おもしろい視点でとらえられています。
さむい朝ねこの気持ちがよく分かる
前橋桃川小6年 蟻川 景介
【評】すごく寒い朝。コタツで丸くなるネコの気持ちが分かるのは、なるほどこんなときです。ユーモラスな中に、実感をともなっています。
霜降りて下仁田ねぎはうまくなる
下仁田小坂小6年 諏訪 佳祐
【評】諏訪君の家でも、下仁田ネギを作っているのかな。自分の住むところに誇れるものがあるというのは、とてもすばらしいことですね。
さむいのに日ざしの強い部活かな
小野上中1年 後藤 栄貴
【評】冬晴れの日の部活風景が、臨場感豊かに活写されています。もちろん寒いのですが、同時に、どこかすがすがしい感じもありますね。
手のひらに俳句が一つ書いてある
小野上中1年 野村 恵子
【評】学校生活に俳句が自然に溶け込んでいることがうかがえ、さすがは小野上中だと思われます。これからも、どんどん書いてください。
ストーブに集まり覚える百人一首
小野上中2年 佐藤 未菜
【評】百人一首大会に備え、友だちと一緒に暗記しているのでしょう。学校生活が和気あいあいとした雰囲気の中に描かれ、好感が持てます。
冬木立ずしりと重い冬銀河
小野上中2年 唐沢 秀行
【評】「冬」の重複がくどいので、下五を「銀河かな」とでもしたいところですが、銀河の重量をとらえた感性自体は、たいへんすばらしい。
マフラーの長さがいいな冬休み
小野上中2年 佐藤 加奈
【評】友だちのマフラーでしょうか。自分のでしょうか。いずれにせよ、中学生らしいおしゃれへの関心が素直に出ていて、ほほえましい。
校庭に風が届けた雪だより
六合中1年 山口 清華
【評】山の雪が風に運ばれてくるのを風花と言いますが、冬の到来を実感させる自然現象です。それを、学校生活を通して描いたのがいい。
寝坊して雪がふってる夢を見た
六合中1年 山本 勇紀
【評】雪は夢であったのかもしれないし、あるいは実際に降っていたのかもしれない。夢うつつの境にいると、不思議な感覚にとらわれます。
曇り空目をこすり行く冬の道
六合中2年 市川 琢朗
【評】目をこするのは、まだ眠気が残っているためでしょうが、同時に、曇り空で沈みがちな気分を晴らしたいといった思いもありそうです。
部屋干しの服にまきの香においける
六合中3年 山本 梨江
【評】まきを焚(た)いて暖をとるというのは、今ではあまり目にしなくなった光景。服にしみついた木の香りが、とても懐かしい思いに誘います。
寒くなる受験が迫るしも刺さる
六合中3年 篠原 真理
【評】地面にびっしりと降りた霜が、心に突き刺さるようだというのです。受験を目前に控えた不安な気持ちが、痛いほど伝わってきます。
かくれんぼいつも逃げ場はこたつの中
前橋六中1年 関根  輝
【評】家の中で最も手ごろな隠れ場所は、コタツかタンス。だれでも思いつく場所だから、すぐ見つかってしまうけれど、それもまた楽しい。
飴色の紅茶に住まう秋の午後
群馬大附中2年 荒木 瑞穂
【評】これは絶対に秋の午後だし、紅茶でしょう。ほかの季節や飲み物では、この句の夢見るような、ちょっとおしゃれな感覚が生きません。
初空を見上げたときの喜びよ
前橋桂萱中2年 新井 仁美
【評】去年は災害が続き、心の痛むことの多い年でした。新年を迎えた喜びを噛みしめると共に、あらためて平和な1年を祈りたいものです。
雪解けるほほえみたくなる光さし
渋川北中3年 中沢 祥実
【評】積もった雪に、晴れた空からやわらかな光が降り注ぎます。そんな情景にそっとほほえむ中沢さんは、とても繊細な感性の持ち主です。
秋晴れに道を歩いて一人旅
渋川北中3年 菊山 桃子
【評】近所の道でも新鮮な気持ちで歩ければ、それは「旅」と言えるでしょう。その中で、見なれたものが違って見えてくるかもしれません。
入道雲せまってこようが放っておく
渋川北中3年 茂木 準樹
【評】茂木君は、たいそう度胸がすわっているようです。小心者の私などは、見習いたいくらい。加えて、ユーモアのセンスがあるのもいい。
入道雲見ているうちにお腹空く
渋川北中3年 太刀川 祥
【評】雄大な入道雲に、しばし見とれていたのでしょう。ややあって我に返ったとき、急に空腹をおぼえたというのが、なかなかおもしろい。
新しい傘を広げて梅雨入りだ
渋川北中3年 高橋可南子
【評】新しい傘を、いよいよ開くときがきました。うっとうしいと思われがちな梅雨の時期も、自分の心一つで、こんなに楽しくなるのです。