鈴木伸一選

2005年2月9日上毛新聞掲載


初雪のあとの夕日が笑ってる
前橋大室小5年 山本瑠璃子
【評】初雪がやんだ後、空が晴れて、きれいな夕日が見えます。山本さんの気持ちと同じように、夕日も初雪をよろこんでいるみたいです。
竹の葉が寒い寒いとゆれている
前橋大室小5年 栗原 幸花
【評】風に細かくゆれるタケの葉。いかにも寒そうなその場の情景が、ぱっと目に浮かびます。タケの気持ちになって書いたのがよかった。
夕やけで私のほおも秋の色
前橋大室小5年 高坂 未来
【評】秋の夕焼けが、あらゆるものをオレンジ色に美しく染め上げます。それを見ている高坂さんのほおも、同じように染まっているのです。
鏡もちみかんをのせて正座する
前橋大室小6年 内藤 友希
【評】大きくてどっしりした鏡もちじゃないと、「正座する」という感じは出ませんね。読むと、背すじがぴんと伸びるような気がする俳句。
書初を書くとき背中があつくなる
高崎豊岡小6年 平田 遼二
【評】紙に向かって筆を下ろすときの緊張感が、「背中があつくなる」という表現に、よくあらわれています。私も、身に覚えがありますよ。
雪が降り楽しさだんだんつもってく
下仁田小坂小6年 諏訪 佳祐
【評】積もってゆく雪を眺めていると、雪合戦をしようかなとか、雪だるまを作ろうかなとか、楽しみがだんだんとふくらんでゆきますね。
お正月冷蔵庫のおく見えないよ
前橋桃川小6年 善如寺 梓
【評】食べ物や飲み物が、冷蔵庫の奥が見えないほど、いっぱい入っているのです。お正月を迎えた晴れやかな気分が、よく伝わってきます。
私だけ世界に一人のこたつの子
前橋桃川小6年 下田まりも
【評】下田さんはコタツが大好きで、コタツをなかなか離れないのでしょう。そんな自分を、ずばり「こたつの子」と言ったユーモアがいい。
黒ばんにことし最後の落書きを
前橋桃川小6年 小鮒 尚輝
【評】2学期の終業式の日。年明けまで会えない教室と名ごりを惜しむかのように、落書きを一つ。先生も、きっと許してくれるでしょう。
書きぞめに手がふるえてる4時間目
前橋桃川小6年 高橋 卓也
【評】手がふるえるのは緊張のせいでもあり、寒さのせいでもあるでしょう。学校生活の一こまが、豊かな実感をともなって描かれています。
親子してこたつに入るとでられない
笠懸小6年 大下 遥奈
【評】暖かくてコタツを出られないということもあるでしょう。でも、本当は親子の会話がはずんで、楽しくて出られないんじゃないかな。
しも柱学校行くの楽しみだ
笠懸小6年 岩崎  卓
【評】霜柱をザクザク踏むのって、楽しいよね。きっと校庭も、びっしりと霜が降りているはず。さあ早く登校して、踏んで遊びましょう。
夏の海砂の数だけ星の数
榛名六小6年 星名 美優
【評】浜辺の砂のように数えきれないほどの星々が、きらきら輝いています。そんな美しい光景を、「数」のくり返しでうまく表現しました。
桜舞い学校帰りにかけぬける
榛東南小6年 十河  栞
【評】小学校の思い出でしょうか。中学生になった自分の姿を想像して書いたものでしょうか。どちらにしても、たいへん美しい光景です。
鼻先が寒さにぶつかる登校中
小野上中1年 丸山  唯
【評】あまりに寒くて、空気が固まったような感じになることってありますものね。「ぶつかる」は、まさにその辺りを端的にとらえた表現。
階段をのぼる足にも冬の風
小野上中1年 野村 翔平
【評】学校の廊下や階段って、結構冷えますからね。とりわけ、足もとから寒さが伝わってくるというのは、すごく実感のあるとらえ方です。
北風に揺れて延びゆく友の影
小野上中2年 唐沢 秀行
【評】晴れた、寒い夕方。北風に吹かれ、友だちの影が伸びたように感じられたのです。単なる現実描写から一歩進んだ、「詩」のある作品。
青空に青々と見える北風や
小野上中2年 佐藤紗也加
【評】もちろん、実際に風そのものを見ることはできません。が、それを心の目でとらえることは可能。佐藤さんの豊かな感性の賜物(たまもの)ですね。
雪とけて少し淋しい朝がきて
小野上中2年 長久保徴子
【評】雪も残っていると凍ったりして大変ですが、とけてしまうと、妙にさびしく感じられたりします。そうした微妙な心理を、うまく表現。
寒すぎて雲もかたまる日曜日
小野上中3年 佐藤 一馬
【評】日曜だというのに、何もかもが凍ってしまうと思われるほどの寒さです。もっとも「雲もかたまる」は、そんなときだからこその発見。
いつも会う友より賀状今日も会う
高崎片岡中1年 武藤 伊吹
【評】毎日顔を合わせる親友同士でも、こうしてあらためて年始のあいさつを交わすのは大事なこと。ちょっと照れくさいかもしれませんが。
あんこうの顔初夢にでてきそう
高崎片岡中1年 春山 貴仁
【評】たいへん美味なアンコウですが、風貌はお世辞にもスマートとは言いがたい。特にあの大きな口には、強烈なインパクトがありますね。
鴛鴦(おしどり)は色を集める冬の空
高崎片岡中1年 井上 美保
【評】オシドリは、とても美しい水鳥。「色を集める」がぴったりの表現だなあ、と思います。冬の自然には、華麗な色が少ないですものね。
風花の舞う道歩く親子かな
高崎片岡中1年 横尾 知孝
【評】晴れた空に、山から飛んできた雪がちらちらと舞います。その中を楽しげに歩いてゆく親子の姿が、読む者の心を暖かくしてくれます。
うちの犬雪の山みてのぼってく
六合中1年 関  秀晃
【評】雪の山を見たとき、イヌの中に眠っていた野性が目を覚ましたのかもしれませんね。無心に駆けてゆくイヌの姿が、とても印象的です。
雲たちが寒さで凍って落ちてきそう
吉井入野中1年 安藤 直貴
【評】本当に雲が凍って落ちてきたら大変ですが、しかしそう思われるくらいの寒さだということでしょう。いい意味での誇張表現ですね。
初夢に鳥を見てから鳥が好き
富岡南中3年 永峰 克麻
【評】初夢に出てきたのはタカではなく、もっと身近な鳥だったような気がします。それだって自分がいいと思えば、縁起のいい夢なのです。
雪ふってすこし迎えを期待する
富岡南中3年 寺本 成孝
【評】雪なので、家から学校まで迎えに来てくれるかも、と少し期待したわけです。現実は期待はずれだったとしても、このユーモアは大事。
枯れ木見てなんだかおうえんしたくなる
富岡南中3年 高橋  歩
【評】寒さにじっと耐えている枯れ木に、「がんばれ」と声をかけたくなったのです。それは同時に、自分への励ましでもあったのでしょう。
受験期の真っただ中で遊んでる
前橋桂萱中3年 酒井 卓也
【評】「忙中閑あり」という言葉にならい、この句も、受験期の最中(さなか)にふと訪れた平穏な時間を、「遊んでる」と表現したものと解釈します。
初詣今年に向かって段上る
伊勢崎境南中3年 八木美由紀
【評】石段を一歩一歩上るたびに、新年を迎えたという気持ちが強まってゆくのです。中学3年の作者にとって、今年は特別な年ですものね。
朝霜に昨日の星空思い出す
伊勢崎境南中3年 尾島  諒
【評】地面にびっしりと降りた霜を目にしたとき、昨夜は晴れて星がよく見えたけど寒かったなあ、とあらためて思い出されたのでしょう。