林桂選

2005年3月30日上毛新聞掲載


強風でみんなの頭がライオンだ
前橋桃川小6年 賀川未津季
【評】冬の強風で、みんなの髪が逆立って、ライオンのたてがみのようになっているのです。風に負けない強い子に変身でしょうか。
コーヒーがふわふわふわ白い息
前橋大室小6年 樋口 由希
【評】コーヒーの湯気。白い息の出るような冷たい所では、一層目立ちます。コーヒーも同じように白い息をしているように見えます。
桜舞う制服着てる後ろ姿
前橋山王小6年 小鮒 美咲
【評】この「制服」は、中学生のものでしょう。桜舞う季節に中学校の制服を着ている自分の姿を想像しているのでしょうか。
ふと思いお風呂の時間長くなる
下仁田小坂小6年 永井 理子
【評】お風呂でくつろぐと、いろいろなことを思い出し、考えていることがあります。お風呂がぬるくなってきて、長湯に気づきます。
冬の朝自分のはく息ついてくる
下仁田小坂小6年 永井 順也
【評】私たちは、自分のはく息につつまれて生きているのですが、あまり考えることはありません。冬の朝の白い息で、気づかされるのです。
空を舞う桜をとおるシャボン玉
吉井入野中1年 春山 直美
【評】桜の咲き誇る中をシャボン玉が飛んでゆくのです。映像的に美しい。シャボン玉の中には、桜と青い空が映り込んでいるはずです。
衣替えすると出てくるお気に入り
吉井入野中1年 野沢 祐基
【評】お気に入りの洋服も、季節を過ぎると忘れてしまうもの。衣替えの季節に再会して、お気に入りだったことを思い出すのです。
帰り道花の芽を見て空を見る
吉井入野中1年 刀根 香織
【評】花芽を見つけたことで、空にも春らしい様子を見つけようとしたのでしょう。帰り道も段々春らしくなってゆきます。
シャボン玉映った冬に手を振った
吉井入野中1年 木村 美貴
【評】シャボン玉に冬が映るということは、辺り一面も冬。その風景にお別れの手を振り、春を待ちます。春の先駆けのシャボン玉です。
雪の上親子の足跡楽しげに
六合中1年 押野 美瑛
【評】雪の上の親子の足跡。その足跡が、親子の楽しい様子を語ります。並んだ跡だったのでしょうか、追いかけっこの跡だったのでしょうか。
バス停の氷柱は日に日に増えていく
六合中1年 倉林 光輝
【評】このバス停は、小屋風になっているのでしょう。毎日通学で乗るバス停の変化を氷柱に見ています。厳しい寒さと近づく春。
春時雨新品の靴汚してく
高崎片岡中1年 藤田  賢
【評】新学期を迎えて、買い換えた靴でしょうか。春時雨は、遠慮なく濡らし汚します。おろし立ての靴を履くときの気持ちが感じられます。
種まきがいつの間にか土遊び
高崎片岡中1年 中澤 友香
【評】春の種まき。暖かくなった土の気持ちよさに、自然と土そのものの手触りを楽しむようになってしまっているです。
黒板の文字も寒がる日の出かな
小野上中1年 野村 翔平
【評】早朝の教室は、机、椅子、黒板すべてが冷たい感じです。文字にまで感じたところがいい。「日の出」は「朝日」としたいところ。
リフト乗り目につく物は枯れ木のみ
六合中2年 本多 知紀
【評】リフトからの眺めは、一面の雪景色。目立つのは、枯れ木立くらいのものなのです。スキー場の空間を面白く表現しています。
寒い道手中で泳ぐたいやきだ
群馬大附中2年 木下 涼馬
【評】「手中で泳ぐ」が上手(うま)い。暖かい鯛焼きを食べながらの帰り道なのでしょう。最初に手でその暖かさを味わいます。
風吹いて散りゆくものは枯野かな
群馬大附中2年 齋藤  渉
【評】枯野自身が散ってゆくという発想が面白い。枯野までも吹き散らして吹く冬の厳しい風。誇張表現が生きています。
あたたかな春風かおる竹ばやし
小野上中2年 佐藤 克紀
【評】竹林に、春風を見つける視点は新鮮。「あたたかな」は春風の属性として含意されていますから、表現に工夫が可能でしょう。
風そよぐたわしのとがりやわらかに
小野上中3年 野村 大樹
【評】タワシという題材も面白いし、感覚的にもいい。春の訪れです。「風そよぐ」は、明確な季節の言葉の方がよかったかもしれません。
入試の日いつもの空とちがってる
下仁田中3年 今井 愛美
【評】入試に向かう空模様。見慣れた空とは違った様子です。もちろん、それは今井さんの思いの深さが見せるものです。
晴天の青きを映す雪鏡
六合中3年 西山 貴枝
【評】「雪鏡」は、「水鏡」にヒントを得た西山さんの造語でしょうか。雪は、像を映すことは難しいですが、色彩は可能です。