鈴木伸一選

2005年5月4日上毛新聞掲載


放課後に砂がさわいで夏間近
吾妻高1年 吉沢絵理奈
【評】「砂がさわいで」がいい。風で校庭に砂ぼこりが立っているというだけでなく、夏到来を待つ作者の胸の高鳴りをも象徴している感じ。
桜さく朝日に向って声あげる
吾妻高1年 向  明美
【評】咲き始めたばかりでしょうか。たいそう初々しいイメージで、何だかサクラが赤ちゃんみたいに産声をあげているようにも思われます。
扇風機母は弟に向けてしまう
高崎北高1年 大友  涼
【評】扇風機は兄弟に均等に向いており、作者もそれは承知なのですが、あまりの暑さに、つい愚痴(ぐち)をこぼしたくなったというわけでしょう。
日焼けしてほめられたのはずっと前
高崎北高1年 大塚 真郁
【評】子どものころの日焼けは、元気さの証しとしてほめられたのに、高校生となった今は、どうもそうはいかない。少々さびしいですね。
父と子の同じ形のサングラス
高崎北高1年 望月 麻衣
【評】この子が幼児なら、見るからにほほえましいですね。また高校生くらいだとしたら、いい親子関係だなあ、とうらやましさを感じます。
夏休み部活だらけの予定表
高崎北高1年 横堀 駿介
【評】「部活だらけ」は、一見すると自嘲(じちょう)的な印象ですが、裏には、ある種の誇らしさもありそう。だって、とても充実した夏休みだもの。
不器男忌や大海原に星ひとつ
北海道大2年 山野犠恵子
【評】夭折の俳人、芝不器男の忌日は、二月二十四日。昭和初頭の俳壇を彗星のように駆け抜けた俊才へのオマージュとして、なかなかいい。