鈴木伸一選

2005年5月4日上毛新聞掲載


しんがっき春の空気が飛んでいる
前橋桃川小5年 都丸 祥歩
【評】はずむような新学期の雰囲気を、「空気が飛んでいる」という表現で、うまく描きました。読者の気持ちも、自然と明るくなりますね。
弟ははっぱはかせになっている
前橋桃川小5年 中沢 鮎美
【評】いろいろな草木の葉を、くわしく知っている弟。「はっぱはかせ」という称号は、自慢の弟への、お姉さんからのすてきな贈り物です。
春の空青空たくさん始まりだ
前橋桃川小5年 荒木 健太
【評】ほかの季節と比べて、春の空には青い色がたくさんあるような感じがしたのでしょう。いろんなことの始まりを告げる、希望の色です。
春の外平和と花でいっぱいだ
前橋桃川小5年 斉藤 和馬
【評】悲しいことに、世界には今も戦争をしている国があり、多くの子どもたちが苦しんでいます。花でいっぱいの平和な世界にしたいよね。
くもり空桜はいつも晴れている
下仁田小坂小6年 永井 悠貴
【評】満開のサクラでしょう。たとえ空は曇っていても、花のまわりだけは晴れているような感じがするというのは、なかなかすてきな発見。
春風にあやとりしてるやなぎの木
甘楽二中1年 高木 里奈
【評】シダレヤナギだと思いますが、春、垂れ下がった枝から伸びた細い葉が風に揺れる様子は、なるほど「あやとり」をしているようです。
春の日にやさしい雨が降っていた
中之条中1年 割田 有香
【評】春雨には確かにやさしい雰囲気がありますが、それを感じ取るためには、まず作者自身がやさしい心の持ち主でなければなりません。
思いきり夢も桜も咲きほこれ
中之条中1年 吉田 知世
【評】大人には、「夢も桜も咲きほこれ」のような大胆な表現が、なかなかできません。吉田さんは大きな夢を、たくさん咲かせてください。
ふきのとうおはようおはよう目がさめた
中之条中1年 唐沢 由弥
【評】フキノトウは、私たちに春という季節の目覚めを知らせます。類想はありますが、この句はこの句で、いかにもすがすがしいのがいい。
小さくて見つからないよ春の花
藤岡北中1年 針谷  希
【評】イヌフグリのように実際に小さい花もありますが、この句での「春の花」は、たとえば希望とか夢とかの比喩(ひゆ)と読むこともできそう。
桜の木まださかないよわすれんぼ
小野上中1年 佐藤奈美恵
【評】今年のサクラは開花宣言の後、満開になるまで時間がかかりました。そんなサクラを「わすれんぼ」と言った作者のユーモアが楽しい。
午後授業眠気おしよせチョウが舞う
小野上中2年 丸山  唯
【評】拙作に「飢ゑてゐてあまたの蝶に囲まるる」があります。丸山さんも私も、眠気や飢えの象徴としてチョウを描いている点で同じです。
雨の中ほのかに光る桜かな
小野上中2年 吉沢 朋和
【評】この神秘的な光は、サクラの内側からにじみ出す命の光かもしれません。「かたまつて薄き光の菫(すみれ)かな」(渡辺水巴)を連想しました。
桜色青空見えなくなるほどに
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】満開のサクラを、下から見上げたのです。作者の視界いっぱいに桜色が広がって、青空まで隠してしまうほどの大木なのでしょうね。
弁当の中に舞いおり桜咲く
小野上中3年 佐藤 絵理
【評】サクラの花びら入りのお弁当です。春の季節感たっぷりの、おいしいお弁当だったことでしょうね。
桜草流れる川と風の色
小野上中3年 唐沢 秀行
【評】明るい陽光をまとって流れる川と、軽やかに吹く風。そのイメージが、サクラソウにぴったりです。
ひざよりも長いスカート風光る
小野上中3年 朝比奈明子
【評】短めのスカートは活動的で、ひざ丈より長いのは、もっと落ち着いた感じ。朝比奈さんの人柄も、おのずとうかがえる気がしますね。
空を見る春風希望に満ちている
前橋芳賀中3年 松村 厚子
【評】春風に希望を感じるというのは先例も多いのですが、それでも、この素直な若さは捨て難い。俳句のスタートとしては、これでいい。
のんびりと動きたくない春休み
前橋芳賀中3年 荒木 慎也
【評】この気持ちは、とてもよく分かります。新学期からは、何かとあわただしい毎日になりますものね。