林桂選

2005年5月11日上毛新聞掲載


学校はさくらがまわりをつつんでる
前橋桃川小5年 下田 真実
【評】さくらがまわりをつつんでいる学校は、それだけで夢のようです。学校の始まりが、春なのには理由があるのかもしれませんね。
ぽかぽかと気がやすらぐね春の風
前橋桃川小5年 山口 晃穂
【評】「ぽかぽか陽気」のように使う「ぽかぽか」を、気が安らぐ様子に使いました。のどかな春の気分を演出することに成功しています。
おひさまが早起きするとあったかい
前橋桃川小5年 鳥山 遙希
【評】早起きすると、太陽の暖かさをはだで感じることができます。まだ冷たい空気の中を、太陽の光が直接渡しにやってくる感じです。
ランドセル思い出入れて通学路
下仁田小坂小6年 永井 梨沙
【評】ランドセルに教科書、学用品を入れて通った学校。その生活の中で、ランドセルに思い出もいっぱいに入れていたのですね。
悲しみが雨といっしょにたまってく
下仁田小坂小6年 八重樫結香
【評】「いっしょに」で単なる悲しみの比喩(ひゆ)ではなく、雨を目にしての悲しみであることがわかります。卒業の別れの悲しみでしょうか。
のぼりぼうのぼって桜に手がとどく
下仁田小坂小6年 清水 健司
【評】桜の花が咲いているときは、のぼり棒も特別です。桜の花にさわるための道具に早変わり。いつもにまして楽しい遊びになります。
春になり畑にかようおばあさん
中之条中1年 関  沙織
【評】春になり、畑仕事に精を出すようになったおばあさん。誰よりも春を待っていたのかもしれません。それが「かよう」にでています。
春が来てありも一緒に新学期
中之条中1年 中沢 萌香
【評】春の活動を始めるアリ。確かにアリにも新学期があるように思えてきます。人間だけでなく、万物が春に活動をはじめます。
春がきて命あるものみなえがお
中之条中1年 高橋  龍
【評】春の感覚を「命あるものみなえがお」ととらえました。大きな把握で、春の楽しい感じが出ています。
制服に桜の花びら散ってくる
中之条中1年 桑原あやか
【評】「学帽で桜を散らす遊びせり」(林桂)と詠んだことがあります。制服と桜の世界は珍しくありませんが、やはり「絵」になります。
夜桜を見ていてサッと風が吹く
中之条中1年 関 万葉子
【評】「見ていて」が効果的。夜桜を見ていると、やがて花が揺れる場面に出合ったのです。その揺れで、一陣の風を知るのです。
カーテンがゆれるたんびに桜ちる
中之条中1年 小渕 結香
【評】「たんび」という口語表現が、ゆっくりとしたリズムを作り、長閑(のどか)な春の感じを演出します。風も光をたっぷり含んだ暖かな風です。
木洩れ陽が優しい場所で一休み
藤岡北中1年 浅見  藍
【評】木洩(こも)れ日の柔らかさを、「優しい場所で一休み」と言い止めました。優しい場所は、木洩れ日自身が作り出した場所でもあります。
黒板が緊張している新学期
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】新学期の緊張感。それを黒板に転写して見ています。教室の仲間のかたい雰囲気まで感じられます。秀作です。
月曜日桜の花もねむたそう
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】心のどこかに潜む「ブルーマンデー」。咲き誇る桜の花も、眠そうな顔に見えてきます。桜の花も見る人の気持ちを反映しています。
中庭の桜で笑う新入生
小野上中2年 野村 克貴
【評】「中庭の」という具体的な限定の言葉が、この句を面白くしています。新しい学校で、新しい生活の場の「中庭」です。
山の木をゆらして通る春の風
六合中2年 市川  梓
【評】冬の枯れ木では見えなかった風の道が、木々が若葉になることによって、見えてきます。若葉が風にこたえてゆれるのです。
ふきのとう運転手さんがくれた春
六合中3年 麻野沙央織
【評】バスの運転手さんから、フキノトウをもらったということなのでしょうか。フキノトウを通して、春と人の心ももらっています。
春の日に笑顔あふれる君の顔
前橋芳賀中3年 萩野谷佳織
【評】「春の日に」が面白い効果をあげています。具体的な何かに笑顔を向けるのではなく、春の気分が笑顔を作っているのです。