鈴木伸一選

2005年6月1日上毛新聞掲載


三階は木より高いぞすごいだろ
前橋大室小5年 神沢 美穂
【評】教室が3階になったのでしょう。「木より高いぞ」という言葉には、うれしさと共に、上級生としての決意もこめられているようです。
太陽の火花がとびちりなつになる
前橋桃川小5年 新木  光
【評】いよいよ暑くなるぞ、という感じを、「火花がとびちり」でうまく表現。実際に火花が飛ぶことはないけど、そう思わせるのが詩の力。
バーベキューけむりを食べるこいのぼり
前橋桃川小5年 武井 美久
【評】家の庭でバーベキューをしているのでしょうか。おいしそうなにおいと煙を、こいのぼりが大きな口で食べているという発想が楽しい。
春の風ふくといろいろやってくる
前橋桃川小6年 林  大貴
【評】あたたかな春風がふくと、いろんな楽しいことがやってくるような気がしますね。私としては、スギ花粉だけは勘弁してほしいですが。
すべり台のぼって木々の話し声
下仁田小坂小6年 新井  純
【評】すべり台の上に登れば、その分だけ木々が近くなります。風に揺れる葉の音も、きっと聞こえてくるでしょう。季節は初夏の感じかな。
ねころんだぼくの目の前春の風
下仁田小坂小6年 森田 賢人
【評】ときには寝転んだりすると、今まで見えなかったものが見えてきたりします。これが、俳句で大切な「発見」につながってゆくのです。
母の日に母がうふふと笑ったよ
伊勢崎赤堀東小6年 諸田  遥
【評】小さくうふふと笑ったというところに、控えめでやさしいお母さんの人柄がうかがえるようです。静かだけど、幸せいっぱいの俳句。
鳥たちが春の青空ひとっとび
中之条中1年 田村勇太郎
【評】いかにも気持ちよさそうな鳥たちの姿が、ぱっと目に浮かんできます。こんなとき、人間に羽のないことがつくづく残念に思われます。
ゆらゆらと風の音符と踊る虫
中之条中1年 宮崎  瞳
【評】心地よいリズムを感じさせる風。多分、春の風でしょう。虫たちが、何とも楽しそうな様子です。宮崎さん自身も、同様に楽しそう。
新緑のさえわたる日の帰り道
六合中1年 山本 圭介
【評】目に染みるようなみずみずしい新緑。何ともすてきな下校風景です。自然を愛する作者の思いがよく伝わり、読者の心も洗われるよう。
暮の春青空見上げ何思う
六合中1年 大塚 昂弘
【評】「春の暮」は、暮春と春の夕刻の両方を指し、「暮の春」は、主に暮春を指します。春の終わりの物憂(う)い気分が、よく伝わる作品です。
春もすぎ友と親しく会話する
吉井入野中1年 阿藤 洸平
【評】入学から二カ月あまり。初夏の声が聞こえるころには親しい友達ができ、会話もはずんできます。中学校生活も、これからが本番です。
春風に背中押されて勇気出た
吉井入野中1年 舟本 美久
【評】慣れない中学校生活には、戸惑うことも多いと思います。そんなときは、まわりの自然や友達から、少し勇気を分けてもらいましょう。
母の日の花瓶に一輪花を挿す
高崎片岡中2年 松本 綾芽
【評】豪華な花束より一輪の花の方が、お母さんはずっとうれしかったと思います。つつましいけれど、松本さんの心がこもっていますもの。
青嵐私のボール盗まれて
高崎片岡中2年 貝瀬里恵奈
【評】青葉のころに吹き渡る青嵐(あおあらし)の中、見失ってしまったボールのゆくえを思う作者。青嵐のすがすがしさが、心を癒やしてくれるようです。
友達と春のうれしさ語りあい
妙義中2年 陣内 アヤ
【評】楽しそうな話し声が、私の耳にも聞こえてくるような気がします。仲よしの友達と一緒なら、うれしさもきっと倍増することでしょう。
春の日がサッカーボールをてらしてる
妙義中2年 清水 啓太
【評】春の日に照らされたサッカーボールが、ぱっと見えてきます。焦点をしぼったことで、逆に周囲の状況がいろいろ想像できるのがいい。
ハンカチでひたいをふいて夏になる
小野上中1年 新井 美晴
【評】今年の立夏は五月五日でしたが、このころになると、少し動くと汗ばむこともあります。日常の中に、季節感をしっかりとらえました。
牛乳をいっきに飲んで夏近し
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】「夏近し」がうまい。そう快な季節感と若々しさがよく伝わり、気持ちのいい作品です。ただし、類想句の存在がやや気になります。
大波を山に走らす青あらし
小野上中2年 木暮 孝薫
【評】初夏の青嵐に、山の木々が大きく揺れ、まるで波が走っているように見えるのです。着想もいいし、表現技法もしっかりしています。
制服が部屋で一人の日曜日
小野上中2年 樋田 亮介
【評】ハンガーにかけられた制服。出番のない日曜はつまらなそうで、何だか脱け殻のようにも見えます。やっぱり学校は楽しいですものね。
全体が緑に染まる幼稚園
小野上中2年 野村 恵子
【評】緑の木々に囲まれた幼稚園が、目に浮かびます。たくさんのかわいい声が木の間から聞こえてくるようで、思わずほほえみが漏れます。
散りながら思い出運ぶ桜かな
小野上中2年 斉藤 千尋
【評】散りゆくサクラに、私たちはさまざまな思いを重ねます。うれしかったこと、悲しかったこと、そのどれもが私たちの生きた証しなのです。
昼休み光って見える葉桜や
小野上中3年 野村 成美
【評】「葉桜の中の無数の空さわぐ」(篠原梵)という句があります。葉桜のみずみずしさには、きらきら輝く初夏の陽光がよく似合います。
どしゃ降りの後の静けさ小鳥鳴く
小野上中3年 佐藤 加奈
【評】喧騒(けんそう)の後の静けさ。ほっとすると共に、どこか気が抜けたような感じもします。そんな中、小鳥たちの愛らしい声がとりわけ印象的です。
青梅を見て走るかな月曜日
小野上中3年 唐沢 秀行
【評】部活動などで走っているのでしょうか。朝、遅刻しそうで走っているのでしょうか。どちらにしても、「青梅を見て」がおもしろい。
春の夜瞬く星の数と夢
太田東中3年 岡部 未来
【評】夜空の星の数ほど、たくさんの夢。若い作者にとって、これは決して大げさな表現ではないでしょう。一つ一つの夢を、どうか大切に。
青い空舞ってしまった桜の花
太田東中3年 高野 暉大
【評】「舞ってしまった」というところに、散る花を惜しみ、無情な風を嘆く思いが、おのずとにじみ出ています。心根(こころね)のやさしい作者です。
春休み花粉がすごいバスケする
太田東中3年 小林  克
【評】花粉症は本当につらいものですが、小林君には、それを忘れて熱中できるバスケットボールがあります。私には、それがうらやましい。