鈴木伸一選

2005年7月27日上毛新聞掲載


夏の昼スイカ畑に走ってく
榛東南小6年 清水 鈴音
【評】畑からとったスイカは新鮮で、冷やすと本当においしいですね。「走ってく」に、早く食べたいなあ、という気持ちがよく出ています。
夏の夜星がちかづくとりたいな
榛東南小6年 村上 詩音
【評】とても夢のある俳句。晴れた夏の夜空を眺めていると、いろんな想像がふくらんで、星に手を伸ばせば、本当に取れそうな気がします。
キラキラとひかるプールに呼ばれてる
伊勢崎赤堀東小6年 諸田  遥
【評】水の中は気持ちがいいよ、ってプールが諸田さんを誘っているみたい。プールへと向かう足も、知らず知らずのうちに早くなりますね。
海の風潮の匂いがすきとおる
倉渕川浦小6年 関  潤弥
【評】修学旅行で訪れた江の島の海でしょうか。群馬では嗅(か)ぐことのできない潮の匂(にお)いに感動した関君の様子が、とてもよく伝わってきます。
夕立ちに追われ帰ってにじを見た
松井田西横野小6年 桑原 孝朗
【評】突然の夕立に、大あわてで家へととんで帰った桑原君。やがて雷雲も去り、空に美しい虹がかかりました。気持ちが、ほっとしますね。
てるぼうずすこしずつだが数増やす
松井田西横野小6年 桑原 幸佑
【評】てるてるぼうずの数を一度に増やすのではなく、毎日少しずつ増やしてゆくところに、かえって晴れを願う気持ちが強く感じられます。
あつき日よ夏の日本をひからせて
玉村南小6年 若井 大晟
【評】「日本」という大きなテーマを俳句にしたのがすごい。夏の強烈な日差しに、キラキラと光る日本。なかなか詩的な情景だと思います。
夏の日はいつも金魚になりたいな
下仁田小坂小6年 清水 健司
【評】金魚は涼しそうで、うらやましいですものね。もっとも、プールに入れば、本物の金魚にはなれなくても、金魚の気分は味わえるかも。
自由遊びだれかがにゅうっと顔を出し
藤岡一小6年 山田 晋也
【評】どんな遊びだったのかは分かりませんが、ふいにだれかが顔を出したときの山田君の驚きは、よく出ています。「にゅうっと」が愉快。
a×bの途中にホーホケキョ
中之条中1年 安済 里佳
【評】数式を俳句に取り入れるという発想に感心。ウグイスの間のびした声とのミスマッチも面白い。俳句は、これくらい自由に書いていい。
青空に雲をけりあげ夏とう来
中之条中1年 山田 礼子
【評】青空にふわりと浮かぶ夏の雲。いかにもそう快な印象ですが、作者はそれを「けりあげ」という言葉で表現。なるほど、と思いました。
青い夏青が体をつつみこむ
中之条中1年 小渕 彩香
【評】青い空、青い海。夏という季節のイメージを色であらわせば、やはり「青」がふさわしいでしょうね。伸びやかで若々しい作品です。
太陽に背中を向けて草むしり
六合中1年 山本しおり
【評】「太陽に背中を向けて」は事実そのままである反面、草むしりという作業の大変さも物語っています。ともあれ、水分補給を忘れずに。
金亀子今日の終わりをつげている
小野上中1年 佐藤 史佳
【評】「金亀子」と書いて、コガネムシ。夏、大きな羽音を立てて燈火へ飛んで来ますが、その様子に、作者は一日の終わりを感じたのです。
ポスターに水色ぬりたい夏休み
小野上中2年 飯塚 麻衣
【評】涼しそうな水色は、夏に似合いの色。ただし、この句は実際に水色を塗るというのではなく、夏はそんな気分になる、と読む方がいい。
夏の朝雨のにおいがとびまわる
小野上中2年 佐藤 磨依
【評】「雨のにおい」がいい。ただ、雨は降っているのでしょうか。それとも、降る前でしょうか。私には、降る前のように思われますが。
トランプをきってる音が涼しい日
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】軽快な音を立て、トランプを鮮やかな手つきで切る人。その様子を見ていると、暑さも吹き飛んで、気分がすっきりしてくるようです。
昼寝覚(ひるねざめ)頭の中に通る風
高崎片岡中2年 富田佐知子
【評】昼寝から覚めた直後は、現実と非現実の境にいるような感じがします。頭の中を風が通るというのも、その辺りを言ったものでしょう。
ラムネ越し見える世界は夏の色
高崎片岡中2年 堀田 雅乃
【評】涼やかで、しかも独特の透明感がある作品です。堀田さんの目には、ラムネの瓶を透かして、どんな光景が見えていたのでしょうか。
切なさや儚(はかな)い気もちが梅雨にある
妙義中2年 佐藤 春菜
【評】梅雨どきの、何となく沈みがちな気分がよく伝わります。やや感傷的過ぎるかもしれませんが、それもまた作者の年齢に見合ったもの。
五月雨が午後の授業をねむくする
下仁田中2年 神戸 瑠里
【評】しとしとと降る五月雨(さみだれ)に、ふと眠気を誘われた作者。居眠りはあまり奨励できませんが、これも梅雨どきらしい情景であることは確か。
青い空まぶしい赤の雷門
下仁田中2年 今井 知美
【評】青空を背景に、浅草のシンボルである雷門の赤い色が鮮明に見えます。色の対比によって、東京旅行の思い出をうまく書きとめました。
春一番四十センチの山女釣る
富岡南中3年 田村 秀仁
【評】四十センチのヤマメというのは、かなりの大物でしょう。春と共にやって来た、田村君にとって最高の贈り物だったに違いありません。
自転車でかけぬけていくあつい夏
富岡南中3年 佐藤 一馬
【評】若々しい内容に、好感が持てます。中学3年の大事な夏を全力で走り抜けた先には、新たな世界が佐藤君を待っていることでしょう。