鈴木伸一選

2005年8月24日上毛新聞掲載


水平線くもがうかんでさどがしま
群馬国府小5年 山下じゅんな
【評】新潟の臨海学校での作のようです。沖にうっすら浮かんでいるのが佐渡島なのか雲なのか、なかなか見分けがつかなかったのでしょう。
ベランダでゆうひとうみをながめてる
群馬国府小5年 藤塚 智美
【評】ベランダから眺めた、夕日と海。内陸県の群馬に住む私たちにとって、それはたいへん感動的な光景です。いい思い出ができましたね。
にっこりと遠くの空でにじがでた
前橋新田小5年 阿部 美波
【評】雨上がりの空にかかった虹を見ると、心がすごく癒(い)やされますね。「にっこりと」という表現も、そんな虹のやさしい印象にぴったり。
夕焼けが町をまっかにそめていく
前橋新田小5年 石田咲也香
【評】似た作品はありますが、この句はこの句で、石田さんの感動がよく出ています。いろんなものに感動できる心って、本当に大切です。
かえったら母がおいてたこい麦茶
前橋新田小5年 杉山 夏菜
【評】お母さんは、仕事か用事で出かけているのでしょう。でも、杉山さんのために濃い麦茶を用意しておいてくれました。うれしいですね。
海がんのすいかわりもあかね色
倉渕川浦小5年 水野 圭悟
【評】臨海学校の思い出でしょうか。夏の日が水平線に傾き、見えるものすべてが茜(あかね)色に染まります。何とも美しいスイカ割りの光景です。
ミズバショウ大きなはっぱはチンゲンサイ
前橋桃川小5年 塩野 綾菜
【評】なるほど、ミズバショウの葉っぱの形って、チンゲンサイによく似ています。しっかりと観察して、おもしろいことに気がつきました。
おみやげを持ってかけてく友の家
伊勢崎赤堀東小6年 諸田  遥
【評】旅行のおみやげでしょう。仲良しの友だちに一刻も早く届けたいという思いが、よく出ています。友だちも、きっと喜んでくれますよ。
六年の最後の夏は楽しいな
下仁田小坂小6年 森田 賢人
【評】小学生として過ごす最後の夏休み。いろんなことを見たり聞いたりして知識を広げ、すばらしい思い出をたくさん作ってくださいね。
おこづかい片手ににぎって夏祭り
吉井入野中1年 舟本 美久
【評】握りしめた小遣いに、夏祭りの露店を見て歩くときのわくわくした気分が、ぎゅっと詰め込まれています。さあ、何を買いましょうか。
まだねむい朝日が起きろとさわぐ夏
吉井入野中1年 篠崎 春奈
【評】私も朝寝坊なので、作者の気持ちはよく理解できます。もちろん、早寝早起きの方が心身の健康にいいことは分かっているのですが……。
宿題をかたづけ楽しく過ごす夏
吉井入野中1年 鈴木 裕大
【評】宿題を早めに片づけ、あとは自分の時間を満喫するというのは、夏休みの理想的な形でしょう。言うは易(やす)く行うに難(かた)し、ですけれども。
風鈴がひとつなったら夏が来る
渋川北中1年 藤井 成美
【評】折からの風に、風鈴がチリンと音を立てます。その瞬間、藤井さんは夏の到来を知ったのです。日常の中に季節感をとらえたのがいい。
ひなまつり視線を感じ上を見る
渋川北中1年 松沢  望
【評】ふと、ひな人形に見られているような気がしたのでしょう。人形が持っている不思議な雰囲気を感じ、ちょっと怖くなったりします。
夏の空向日葵みたいにいい天気
渋川北中1年 清水 美穂
【評】「向日葵みたいにいい天気」に共感。要するに、明るい青空が広がっているということでしょう。読者の心も晴ればれとする俳句です。
夕方に今日の大とり蝉の声
前橋大胡中2年 阿久津七美
【評】寄席(よせ)などで最後に出演する人が「大とり」。夏の夕、一日の終わりを告げるかのように鳴くセミは、自然界の大とりだというわけです。
京都から見えるきれいな夏の山
甘楽二中3年 松井茉奈美
【評】京都は盆地にありますから、大文字の送り火で名高い五山をはじめ、周りを山が囲んでいます。松井さんが見たのは、どの山でしょう?