鈴木伸一選

2005年9月21日上毛新聞掲載


アスファルト今の日本を照らしけり
熊谷女子高1年 関口 恵理
【評】真夏でしょう。アスファルトの強烈な照り返しに、さまざまな問題や矛盾に喘(あえ)ぐ日本という国自体が、ゆらいでいるかのようなのです。
明日へと広がっていくよ入道雲
熊谷女子高1年 林 奈都美
【評】少々気障(きざ)かもしれませんが、この句には、明日を信じる前向きな意志のようなものを感じます。若い人だからこそ書けた作品でしょう。
まだ見えぬ明日を花火に垣間見る
熊谷女子高2年 板垣由希子
【評】前句に比べ、こちらの「明日」は、もうちょっと屈折した印象。明日を信じたいけれど、完全には信じきれないといった感じでしょう。
熱風が廊下を駆けて夏が去る
熊谷女子高2年 井上由可里
【評】これは、学校の廊下でしょうね。長い廊下を風が駆け抜けてこそ、夏が去りゆくという把握も実感として伝わってくる気がしますから。
黒髪が月の光にてらされる
渋川青翠高2年 上原百合花
【評】幻想的なムードが、なかなか魅力的。髪の毛を染めるのもいいけれど、この句のように、つややかな黒髪の美しさも大事にしたいもの。