鈴木伸一選

2005年9月7日上毛新聞掲載


海水浴うきわにのって空を飛ぶ
群馬国府小5年 本多 春菜
【評】青い海を浮き輪に乗ってぷかぷか浮いていると、あんまり気持ちがよくて、何だか空をただよっているような感じがしたのでしょうね。
海岸で夕日見上げるかげぼうし
群馬国府小5年 加藤 貴也
【評】臨海学校の一こまかと思います。友だちと一緒に見た美しい夕日は、長く記憶に残ることでしょう。「かげぼうし」が、とても印象的。
日がしずむ臨海生活思いだす
群馬国府小5年 原田 真希
【評】臨海学校ではじめて知った、海に沈む夕日の美しさ。家に帰った後も、夕日を見ると、それがありありとまぶたに浮かんでくるのです。
夏祭り花火もいっしょにおどりだす
群馬国府小5年 上原 かな
【評】私の住む町の夏祭りでも、確か花火をしていましたよ。立派な打ち上げ花火でなくとも、お祭りの楽しい楽しいイベントなんですよね。
いねのほにさとうみたいな花がつく
前橋桃川小5年 武井 美久
【評】「さとうみたい」という表現がおもしろい。白くて小さなイネの花って、確かにこんな感じもします。おいしいお米ができそうですね。
二学期はまだ夏休みの人がいる
前橋桃川小5年 塩野 綾菜
【評】2学期が始まりましたが、中にはまだ夏休み気分が抜けない友だちもいます。前橋では、今年から2学期の開始が少し早くなったしね。
木もれ日が砂金の様に光ってる
下仁田小坂小6年 永井 悠貴
【評】「砂金の様に」は、キラキラ輝く木もれ日のたとえとして、とてもじょうずです。季節は書かれていませんが、やはり夏の印象ですね。
夏休みビー玉みたいにかがやいて
藤岡一小6年 諏訪 達彦
【評】夏休みのイメージを、キラキラ光るビー玉にたとえて表現した諏訪君。とてもすてきな夏休みだったということが、よく分かりますね。
アメンボがつめたい春をおよいでる
沼田小6年 金子  緑
【評】アメンボは、俳句では夏の季語とされていますが、金子さんは、春のあいだに見たアメンボを描きました。水も、まだつめたそうです。
虫探し弟の横顔ファーブルだ
中之条中1年 吉田 勝平
【評】何事でも、真剣に取り組んでいる人の顔は印象的なもの。虫の好きな弟さんとしては、ファーブルのようだと言われれば本望でしょう。
学校が消えてしまった朝の霧
中之条中1年 高橋 朋恵
【評】学校がすっぽり隠れてしまうほどの、濃い朝霧。作者も、さぞかし驚いたことでしょう。自然というのは、本当に不思議なものですね。
宿題を軽々飛ばす夏の風
中之条中1年 金井 皆就
【評】実際に宿題が飛ばされたのか、飛ばされてしまえ、という願望か。正岡子規の「夏嵐机上の白紙飛び尽す」も連想されて、おもしろい。
すきとおる青空にひびく蝉の声
中之条中1年 宮内 杏子
【評】真夏と取るか晩夏と取るかで、セミの声の印象も変わります。私は夏の終わりの、どこかさびしい透明感をたたえた青空と読みました。
風りんのきれいな音色は風ふかす
中之条中1年 唐沢 惇実
【評】風が吹いて風鈴が鳴るというのでなく、風鈴のきれいな音色が、風が吹くのを誘うというのです。言わば逆転の発想で、これが効果的。
青い海空も青くて言うことなし
中之条中1年 桑原あやか
【評】青い海、青い空。作者ならずとも、「言うことなし」の気持ちよさですね。夏という季節に特有の開放感が、素直に表現されています。
この季節トマトがどっさりうちのカレー
中之条中1年 田村 鴻介
【評】カレー大好きの私としては、大いに食欲をそそられる俳句。トマトだけでなく、お母さんの愛情もたっぷり入ったカレーだと思います。
校庭でさわぐせみはもういない
六合中1年 山本 圭介
【評】うるさくて仕方なかったセミたちの声ですが、夏が終わり、ぱったり聞こえなくなると、今度はやけにさびしく感じられてくるのです。
暑い夏ボールに向かって一直線
六合中1年 山口  悟
【評】サッカーか何かだと思いますが、山口君が全力で部活に取り組んでいる様子がよく伝わり、読み手も思わず声援を送りたくなります。
スイカ割りだれも割れずに僕の番
中之条西中1年 町田 聖紀
【評】よーし割るぞェ というファイトを感じます。半面、続けてしくじったらどうしよう、というプレッシャーもあったかもしれませんが。
夏の川水がキラキラ踊ってる
中之条西中1年 松岡 夏海
【評】「光ってる」はだれでも思うことですが、「踊ってる」は松岡さんの主観を通した発見。これからも、いろんな発見をしてくださいね。
夏休み線香花火が終わり告げ
中之条西中1年 山本 慶太
【評】線香花火のはかない明かりが、夏休みの終わるさびしさと重なります。類想句もありますが、山本君の気持ちは素直に伝わってきます。
せんぷうき一日ずっとまわってる
下仁田中1年 小金沢 勉
【評】ひたすら回り続ける扇風機によって、うだるような夏の一日を描きました。私も暑いのは苦手なので、この句は実感として分かります。
振りむけば通り過ぎてく夏の色
中央中等教育学校2年 諸田  司
【評】去り行く夏を惜しむ思いが、よく伝わります。後ろを振り向くことで、作者はひと夏のさまざまな出来事を思い返しているのでしょう。
夏休みCMみたいにすぐ終る
小野上中1年 佐藤 良樹
【評】あっという間に終わってしまった夏休みを、佐藤君はテレビコマーシャルみたいに短い時間だったと表現。なるほど、と思いました。
毎日が光りのような夏休み
小野上中2年 佐藤 磨依
【評】佐藤さんにとっての夏休みのキーワードは、「光り」です。こんなふうに、人によってさまざまな夏休みのイメージがあるのが楽しい。
ものさしで夏のながさは計れない
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】その日そのときの気分で、時間は長くも短くも感じられます。だからこそ、人生にいろんな変化が生じておもしろいのかもしれません。
さわやかな朝の窓見る秋の庭
小野上中2年 佐藤 莉奈
【評】庭に立ち、朝日に輝く窓を見ているのでしょう。一方、窓から庭を見ているとも読めますが、いずれにせよ、秋のさわやかさが好印象。
扇風機眠げに回る午後三時
小野上中3年 佐藤 未菜
【評】暑い夏の午後。けだるい雰囲気の中、扇風機の動きもどことなくおっくうそうに見えます。じっとしていても、汗がにじんでくる感じ。
駅伝に入れと言われて悩む秋
小野上中3年 中沢 奈美
【評】学校代表で走るというのは、責任があるし、プレッシャーも感じることですものね。私としては、中沢さんにがんばってほしいですが。