鈴木伸一選

2005年9月21日上毛新聞掲載


夏休み思い出作ってまた学校
前橋桃川小5年 生方麻悠美
【評】夏休みには、夏休みにしかできない思い出をいっぱい作りましょう。同じように学校では、学校でしかできない思い出を作りましょう。
プールには十三回行きカッパ賞
前橋大室小5年 森田 大貴
【評】「カッパ賞」という何とも楽しい名前通り、すいすい泳げるようになったことでしょう。「十三回」と、具体的に書いたのもよかった。
夏休み泳いだぶんだけ黒くなる
前橋大室小6年 田中 沙知
【評】プールで泳ぐたびに、どんどん濃くなってゆく日焼け。それは、田中さんのがんばりに対する勲章(くんしょう)なのです。すてきな夏休みでしたね。
青空に夏のおわりとてをふった
吉井入野中1年 小板橋洸徳
【評】夏の終わりごろというのは、だれしも何となく感傷的な気分になるもの。中学生としてはじめての夏は、どんな夏だったでしょうか。
グランドにいつもとんでる赤トンボ
中之条中1年 田村 悠貴
【評】部活風景でしょう。グランドに出ると、今日も赤トンボがすいすいと気持ちよさそうに飛んでいます。「いつも」という断定が効果的。
泣いている君をはげます秋の風
中之条中1年 桑原 成美
【評】ものさびしい秋風ではなく、さわやかな秋風。そうでなければ、「はげます」が生きません。作者のやさしい心根も伝わってきますね。
万博も終わりに近し秋の風
高崎片岡中2年 飯塚 喬子
【評】「愛・地球博」は、九月二十五日まで。多くの人でにぎわったイベントも、閉幕が近づくにつれ、どことなくさびしい気分が漂います。
青空にまぎれていきし小鳥達
高崎片岡中2年 猿谷 良太
【評】「いきし」は「行きし」のほか、「生きし」や「息し」と読むことも可能。多様に読めるというのは、決して悪いことではありません。
かなかなの音聞くために網戸にし
高崎片岡中2年 佐々木正乃
【評】カナカナの哀調を帯びた声を耳にすると、しみじみと夏の終わりが実感されます。去り行く夏を惜しむ作者の思いが、よく伝わる作品。
週末の時計の音が秋らしい
小野上中2年 飯塚 泰志
【評】時計の音は一年中同じですが、それを季節や時間帯で違うと感じるのが、詩の心。軽やかに時を刻む音が、私の耳にも聞こえてきます。
くつひもを結ぶ指先秋乗せて
小野上中2年 佐藤 莉奈
【評】靴ひもを結ぶというようなちょっとした動作にも、ちゃんと季節感をとらえているのが立派。小さい秋見つけた、といった感じですね。
扇風機夏の名残をとばしてく
小野上中2年 野村 克貴
【評】立秋が過ぎても暑い日が続くので、まだまだ扇風機は片付けられませんが、それでも季節は少しずつ、しかし確かに移ってゆくのです。
新学期チョークの色がまぶしくて
小野上中3年 長久保徴子
【評】新学期に特有の新鮮な気分が、先生が板書するチョークの色をまぶしく感じさせるのでしょう。学校生活を素直な感性で描いています。
流れゆく川ははるかに秋の風
小野上中3年 飯塚 仁美
【評】川を眺めながら、その流れゆく先を思い描いているのです。飯塚さんのこれからの人生も、川と同じく長い旅であるに違いありません。
栗の実が玄関に二つ落ちる秋
小野上中3年 中沢 奈美
【評】二つ落ちたのは偶然でしょうが、こう書かれると、二つ以外は考えられなくなるから不思議。何より、情景が鮮やかに見える点がいい。
夏休みペダルをこぐ足軽くなる
妙義中2年 並木麻由美
【評】夏休みならではの伸びやかな気分が素直に書かれており、好感が持てます。お気に入りの自転車で、いつもより遠出したくなりますね。
友だちと歩いて帰る秋の道
六合中2年 山本美津希
【評】草木の色や空の色、風の感触などを確かめながら、友だちとゆっくり歩くのです。忘れていた大切なものが見つかるかもしれませんね。
待ちぼうけ夕焼け空をわたる雲
六合中3年 山本 翔太
【評】友だちを待っているのでしょうか。所在なさに空を見やれば、茜(あかね)色に染まった雲が流れてゆきます。ちょっぴりさびしい夏の夕刻です。
夏の空青い空気に飛びはねる
下仁田中3年 荻野 真代
【評】「青い空気」という把握が、見るからに若々しい。からだ全体で夏という季節を受けとめている感じがして、読み手の心も弾みます。
庭の木々見つめるほほに秋の風
前橋芳賀中3年 松井 実咲
【評】秋の到来は、ほんのちょっとしたことで知れますが、それを素直に描きました。作者のおだやかな人柄も、自ずとうかがえるようです。