林桂選

2005年9月28日上毛新聞掲載


電気ブロ電気ウナギになった気分
前橋桃川小5年 横坂 亜美
【評】いろいろな種類の浴槽のある温泉には、電気風呂があることがあります。「電気ウナギになった気分」という感想がとてもゆかいです。
花火が打ちあがるとおしべめしべ
前橋桃川小5年 根岸 愛実
【評】花火の様子を「おしべめしべ」にたとえて表現しています。「花火」という名前からの発想かもしれませんが、おもしろい。
夏休みねぎ出荷へのお手伝い
前橋桃川小5年 岩崎 志織
【評】夏ネギの出荷のお手伝いをしました。楽しく遊んだことだけが、夏休みの思い出とはかぎりません。家のお手伝いをするのも夏休みです。
すいかわり地球のまん中まっ二つ
群馬国府小5年 大山 尚子
【評】空振りをしたスイカ割りの様子をユーモアたっぷりに描いています。スイカを外していても、地球の中心は外していないのです。
学校の校庭いっぱい草がある
前橋大室小5年 神沢 美穂
【評】夏休みの登校日か、休み明けかの校庭の様子でしょう。草が伸びて違って見える校庭に驚いています。たくましい夏草を感じさせます。
山行って耳がつーんと遠くなる
前橋大室小6年 栗原 幸花
【評】高い山に登ったのでしょう。高い山では、気圧の関係で耳が痛くなったりすることがあるからです。これも夏の大切な思い出。
見あげれば空ってこんなに大きいや
沼田小6年 飯塚奈津美
【評】空が大きく広いことは分かっていること。でも、視界いっぱいに青空を入れることで、改めて感じ直すことができます。大切な感覚です。
お父さんと線香花火で勝負する
中之条中1年 小池 若菜
【評】「勝負」はどちらの花火が長く保つかというもの。負けても次の一本があるのが、線香花火のいいところ。なかなか決着がつきません。
落ちてきたセミをたべる家の犬
中之条中1年 小渕 彩香
【評】短い命が尽きて落ちてきたセミ。そのセミを食べてしまった愛犬。小渕さんにはショックだったのかもしれません。着眼のいい句です。
夏の日も終わりが近づき日が沈む
中之条中1年 宮崎 裕生
【評】ここでの「終わり」は季節のこと。夏の季節の終わりを感じながら見る入り日。なぜか感傷的になってしまいます。
青空の色がつめたく感じるよ
中之条中1年 田村勇太郎
【評】季語はありませんが、初秋の空でしょうね。夏が去ったという思いで空を見ると、その色も夏の色とは違ってきます。
ネコジャラシススキといっしょに風運ぶ
中之条中1年 割田美早紀
【評】「風運ぶ」がうまい。ネコジャラシ、ススキの上を風が渡ります。それが風を運んでいるように見えるのです。秋の穂が揺れています。
窓わくのほこりにまみれ秋の山
高崎片岡中2年 提箸  太
【評】色づき始めた秋の山に視線を送るようになって、窓枠のほこりに気づきます。それは日常の視線のあり方に気づいたことでもあります。
おはようと起こしに来たのが秋の風
高崎片岡中2年 石関 佑亮
【評】朝の目覚めのときに感じる秋気。それを秋風を擬人化(ぎじんか)して表現し、さわやかな目覚めであることが分かるものにしています。
部活動妨げるのは秋の蝶
高崎片岡中2年 松井美早紀
【評】部活動の視界に紛れ込んだ秋の蝶(ちょう)。動きも衰えてなかなか視界を出て行きません。集中力は切れ、意識が蝶に向いてしまいます。
やわらかな風に包まれ授業危うし
六合中2年 小島亜希穂
【評】「危うし」は、睡魔に襲われた個人の問題。もっとも、「やわらかな風」は、個人的な危機をたくさんの場所に作っているかもしれません。
あるだろう焼きいも食いたいそんな時
六合中2年 黒岩 哲夫
【評】友人に語りかけているような語り口調の句です。それも大きな問題ではなく、ちょっとした気分の変化の問いであることが効果的。
黒板が寂しそうだな八月は
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】夏休みで、しばらく使われていない黒板。「寂しそうだな」と思う気持ちの中には、学校に来られない作者の思いも入っていそうです。
折り紙を切ってる音がなぜか秋
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】紙を切るかすかな音。それが心に届くのは、秋という季節がふさわしいでしょう。寂しさと孤独が、ほんの少しにじみます。
カルピスが少しさみしい夏の夜
小野上中3年 長久保徴子
【評】初恋の味と言われるカルピス。「夏の夜」とあわせて、「少しさみしい」には、こうした思いが託されているのかもしれません。
鰯雲明日の星を探しけり
小野上中3年 唐沢 秀行
【評】鰯雲が浮かび、高くなった秋の空。夕暮れも早くなり、帰り道には星が輝き出すようになってきます。「明日の星」がいかにも若々しい。