林桂選

2006年1月11日上毛新聞掲載


風呂あがり湯気立て歩くお父さん
吾妻高1年 鞠子 祐里
【評】風呂上がりの湯気は肩から立っていそう。上半身裸で家族の前に現れる困った「お父さん」をユーモラスに描いています。
息白しちっちゃくなって帰宅する
吾妻高1年 滝沢 美結
【評】「ちっちゃくなって」に、寒さに背を丸めた自分が描かれています。誇張表現ですが、実感をさそう巧みさがあります。
青空に雪玉ひとつ放り投げ
吾妻高1年 湯浅  遙
【評】晴れ上がった青い空と雪の白い世界。そのコントラストを、青空に雪玉を放り入れることで攪拌(かくはん)したいのです。感覚のいい句。
廊下の奥うなりをあげて冬は近づく
共愛学園高1年 鹿沼 玲奈
【評】廊下の奥は不思議な空間なのかもしれません。新興俳句の代表作のひとつに「戦争が廊下の奥に立つてゐた」(渡辺白泉)があります。
寒さから逃げるように速歩き
渋川青翠高2年  野寺 未鈴
【評】「寒さから逃げるように」がいい。寒いというだけで、はや歩きになる感覚は確かにあります。それを巧みな比喩(ひゆ)で表現しています。
風花は恋の予感を連れてくる
吾妻高3年 山口  渚
【評】「吹越」「はあて」とも言いますが、「風花」という呼称は格別。確かにそれは恋の予感を連れてきそうな言葉の響きがあります。