林桂選

2006年2月1日上毛新聞掲載


ひらひらと風のたいぐんおいかける
前橋桃川小5年 根岸 愛実
【評】風を「たいぐん」ととらえる見方がおもしろい。風は複数で集まっていて、大勢いると考えるのです。見えない風が見えてきそうです。
道祖神燃えて火のこがまい上がる
榛東南小6年 池田 翔汰
【評】道祖神の祭りのようすでしょう。大きなたき火が火の粉を生み、空に舞い上がります。描写力に優れた大人っぽい作品です。
本を読みしみじみしてる部屋の中
渋川北中1年 木暮 亮太
【評】どのような本を読んだのでしょう。「しみじみしてる」がおもしろい。一人の充実した時間が「部屋の中」に流れています。
残されたかかしは一人たそがれる
渋川北中1年 泉田 七瀬
【評】「一人」と擬人化されたかかしですから、「たそがれる」様子には、寂しさと孤独な思いが漂います。自身の姿を投影していそうです。
台風が大きな海をかきまわす
渋川北中1年 前田 瑠美
【評】大きな力を感じている台風を「大きな海をかきまわす」とスケール大きく表現。自分のイメージをよく言葉に置き換えています。
銀杏散り金色光る歩道なり
渋川北中1年 岡山 瑞月
【評】歩道一面に敷き詰められた銀杏の黄色い葉。「金色光る」に美しと思う心が表現されています。公園の歩道などで出合う美しさです。
雪見つつ百人一首とる授業
六合中1年 山本香杏奈
【評】「雪」「百人一首」と、季節感たっぷりの授業。「百人一首」によって、「雪」が作者の中で美しいものに昇華しているからです。
黒い海泡のように湧きでる星
六合中2年 黒岩 剣大
【評】夜空を「黒い海」に見立てました。すると、星は湧(わ)きでる泡のように見えてくることになります。独特の見方がおもしろい。
雪の舞うこの一瞬を一人占め
沼田西中2年 佐藤 隆紀
【評】「一人占め」には、「この一瞬」を至上の時間と感じる思いがありま?す。「雪の舞う」姿を美しいものとして、心に刻みます。
山白く静かな野原笛を吹く
沼田東中2年  角田 輝世
【評】最後の「笛を吹く」がうまい。遠くの山が積雪で白く輝き、野には人影も消えています。その静寂に流す笛の音です。
気になる子出すか出さぬか迷う賀状
中央中等2年 諸田  司
【評】誰に年賀状を出すかは迷うところ。「気になる子」には出すことは、気になっていることを伝えるメッセージにもなるので尚更です。
登下校風との会話がはずむとき
妙義中2年 並木麻由美
【評】空っ風の吹く登下校。さぞ辛いだろう思うのは大人。「風との会話がはずむとき」と、楽しんでしまう若さが作者にはあります。
干し柿の甘さが広がる昼の庭
小野上中2年  宮 ゆりか
【評】「昼の庭」がうまい。太陽の光を浴び、気温が上がる昼間に甘い匂(にお)いを増す干し柿。たくさん軒に吊られているのでしょう。
年の暮れやぶれかぶれの俳句かな
小野上中3年 唐沢 秀行
【評】年の暮れに心急かされるのは、誰も一緒。俳句を作ろうとしても、なかなか思いがまとまらず、やぶれかぶれ。ユーモラスな俳句です。