林桂選

2006年3月1日上毛新聞掲載


うす氷すかしてみると万げ鏡
前橋桃川小5年 武井 美久
【評】薄い氷を日に透かすと、虹の色が見えるときがあります。「万華鏡」は、それを言っているのでしょう。よく遊んで観察しています。
木の香りいっぱい広がる養護学校
高崎国府小5年 住谷 美樹
【評】養護学校の生徒との交流のときのものです。「木の香りいっぱい」に、その時に感動した学校の印象がこめられています。
からっ風体のしんまでとびこんだ
下仁田小坂小6年  新井  純
【評】空っ風の寒さ。それを「体のしんまでとびこんだ」と表現。誇張表現ですが、実感として感じられる巧みな表現です。
初雪や寒くないのか針葉樹
下仁田小坂小6年 永井 悠貴
【評】「ああモミの木、君は偉いな」という童謡の歌詞が思い出されます。寒さの中で葉を緑に保つ針葉樹は、どこかけなげです。
とけながらにこりと笑った雪だるま
下仁田小坂小6年 加部 優紀
【評】とけることで表情が変わってゆく雪だるま。悲しそうに見えるのではなく、笑っているように見えたというのがとてもいいですね。
子供らの笑顔あふれる雪の朝
松井田西横野小6年  桑原 孝朗
【評】朝起きての真っ白い雪の世界。笑顔も元気もあふれてくる子どもた?ち。毎日が新鮮な世界を生きている子どもだからこそです。
つららの雫ポツン、と春へのカウントダウン
藤岡北中1年 田中  諄
【評】溶けて氷柱を伝わる雫。その水滴を数えていると、それが春へのカウントダウンになっていることに気づきます。おもしろい発想。
授業中窓から日ざしがつっこんでくる
藤岡北中1年 羽太  爾
【評】「つっこんでくる」がおもしろい。日々強くなってゆく春の日ざしを感じての表現でしょう。いかにもまぶしそうな日ざしです。
凍ってる道路が夜空に見えてきた
中之条中1年 石田 和子
【評】凍結した夜道。町の灯りの輝きをひろって光ります。まるで星の輝く夜空のよう。夜道を夜空に見たてた人はいままでいないでしょう。
スキー中風と雪とが針と化す
六合中1年 山本 真吾
【評】スキーの体に当たってくる雪まじりの風。「針と化す」は、その冷たさの比喩(ひゆ)表現です。雪の一つ一つが針のように思えてきます。
丘の上夜景の中の星ひとつ
沼田西中2年 大野 正義
【評】「夜景の中の」が、星の輝きを感じさせる表現になっています。「丘の上」には、家の光などの人工的な光もなさそうです。
筆箱の隅に寒さが溜まってる
小野上中2年  丸山  唯
【評】「隅」には、いろいろなものが溜まります。ホコリだったり、落ち葉だったり。寒さも隅に溜まるというのです。おもしろい。
制服のボタン光らせ風笑う
小野上中2年 宮 ゆりか
【評】「山笑う」という春の季語はありますが、「風笑う」はありません。なぜ誰もいままで春の季語として考えなかったのでしょう。大手柄。
朝ぼらけ外はうっすら薔薇水晶
六合中2年 倉林 幸輝
【評】朝ぼらけの空の色のようすを「薔薇水晶」とたとえて表現しています。倉林君の造語でしょうか。神秘的な朝ぼらけを感じさせます。
卒業式チャイムが静かに泣いている
妙義中3年 吉岡 大地
【評】「静かに泣いている」ように聞こえるのは、卒業式の思いがこもるから。きっといろいろな思いで聞き続けてきたチャイムなのでしょう。
教室に思い出つめこむ春の午後
妙義中3年 吉田 春佳
【評】考え方によれば、教室は思い出のパッケージ箱です。学校生活のいろいろな思いが、詰め込まれています。これも卒業間際の思いです。