鈴木伸一選

2006年3月8日上毛新聞掲載


雪の朝はたふり大変お母さん
高崎国府小5年 森山美沙紀
【評】どんなに寒い雪の朝だって、子どもたちの安全のためなら、お母さんはがんばります。そんなお母さんに、ありがとうを言いましょう。
じゅぎょう中チョークにふれたら冷たいな
高崎国府小6年 上原茉里亜
【評】冬の季節感を、学校生活の中からとらえたのがいい。チョークの冷やりとした肌ざわりも、実感としてたいへんよく伝わってきます。
ふとんからあっさり出られた今日は春
榛東南小6年 渡部 雅子
【評】ついこの間までは、ふとんから出るのが一苦労だったのに、今日はすっと気持ちよく起きられました。ああ春だなあ、って思いますね。
ランドセル思い出つめてふた閉じる
榛東南小6年 荒木 雅弥
【評】似た俳句はありますが、それでも6年間使ったランドセルに対する荒木君のさまざまな思いには、読者の胸を強く打つものがあります。
さむいからそとであそんであったまる
榛東南小6年 金井 友紀
【評】私など、寒いと家の中にすぐ退散しちゃうけど、金井さんは反対に、外で思いきり遊んじゃうというわけ。元気さがうらやましいです。
春を呼ぶ犬の鳴き声響く夜
中之条中1年 関  沙織
【評】イヌの鳴き声に春を呼ぶ風情を感じたのは、何より作者自身が春到来を待ち望んでいるから。読者は、そうした作者の心に共感します。
雨の音春の足音重なる日
中之条中1年 桑原 成美
【評】心地よい雨音に耳を澄ませば、近づく春の足音が重なって聞こえてくるのです。こんな日は、気持ちも自然とおだやかになってきます。
春まぢか足音響く通学路
中之条中1年 平形友里香
【評】通学路を行く作者や友だちの足音が、青い空に軽やかに響きます。春のおとずれに弾む心が、ことさらそう感じさせるのでしょうね。
霧の夜そこから始まる物語
中之条中1年 高平 彰子
【評】霧の夜というのは、確かにさまざまな想像をかき立てるものです。ところで、作者の物語はロマンチック? それともミステリアス?
カーテンを開けたらそこに春がいる
妙義中2年 清水 美明
【評】多くの新しい命が誕生する春。この句では、春という季節そのものも命があるかのように表現されており、それが魅力となっています。
ふきのとうどろんこまみれのガキ大将
沼田西中2年 半藤  航
【評】「どろんこ」は「どろまみれ」の意味なので、中七は整理が必要ですが、可憐なイメージのフキノトウをガキ大将と言ったのは面白い。
キーホルダー鈴の音響く冬の空
渋川小野上中2年 野村 翔平
【評】青々と晴れ渡った冬の空でしょう。澄んだ空気の中でこそ、鈴の音も美しく鳴り響く気がします。季節感のとらえ方がいいんですね。
春風を手紙とすいこむポストかな
渋川小野上中2年 野村 詩織
【評】手紙を投函したとき、春風も一緒にポストに吸い込まれていったのです。手紙も、きっと温かな内容のものだったに違いありません。
夢にまでテストの計画冬の星
渋川小野上中2年 宮 ゆりか
【評】テスト勉強を計画通りに実行するのは、なかなか大変。でも、宮さんは夢にまで見るくらいだから、ちゃんとやり遂げることでしょう。
暖かな風が吹いてる朝日かな
渋川小野上中2年 平方 嗣士
【評】「朝日かな」という鷹揚(おうよう)な表現が、ゆったりとした春の気分にふさわしい。自然を変な色眼鏡で見ていないところに好感が持てま?す。
吹く風に痛みを覚え受験かな
渋川小野上中3年 唐沢 秀行
【評】実際に痛いくらい冷たい風だったということ以上に、受験の重圧が心に痛みを感じさせているのでしょう。どうかがんばってください。
カーテンをシャッと開けたら雪が舞う
六合中2年 戸嶋 美和
【評】雪の多い地域ならではの情景で、言わば生活実感の豊かな作品。自分の周りをしっかり見つめるのは、俳句においても大事なことです。
グラウンド春を知らせる水たまり
六合中3年 中村 悠人
【評】長くグラウンドを覆っていた雪がようやく溶け始め、あちこちに水たまりができています。春の到来を知らせる、うれしい合図です。
卒業式未来の空に響く声
安中一中3年 碓井 佑也
【評】未来に向かって歩き出しても、卒業式の日の空に響いたかけがえのない友人たちの声は、いつまでも忘れないでいてほしいと思います。