鈴木伸一選

2006年4月19日上毛新聞掲載


にげてゆく雲追いかける春の風
伊勢崎南小5年 吉田 萌菜
【評】流れる雲を、春の風が追いかける。ただし、追いかけると言っても切羽(せっぱ)詰まったものではなく、のんびりと遊んでいるような感じですね。
春風にのったら私も中学生
下仁田小坂小6年 本多 美里
【評】中学校生活への夢や希望が伸び伸びと表現されており、好感が持てます。こういう心を失くさずに、すてきな中学生になってください。
冬の雲なぜだかみんないそいでる
伊勢崎境剛志小6年 和佐田成美
【評】次々と風に流れてゆく冬の雲を見ていると、自分の気持ちまでせわしなくなってきます。急いでばかりいるのは、あまりよくないけど。
凧上げて平和と感じる日々がある
伊勢崎境剛志小6年 津久井雅智
【評】書かれている内容は、大人顔負けの深いものがあります。今の平和が本物なのか見せかけだけなのか、私もよく考えたいと思いました。
空晴れて風がわらって春になる
中之条中1年 本多 祐子
【評】「風がわらって」がいい。この感覚は、確かに春のものです。作者の顔にも、きっとおだやかなほほえみが浮かんでいたことでしょう。
木もれ日で黒い制服光り立つ
吉井入野中1年 安藤 裕介
【評】キラキラと光る木もれ日の中で、学生服の黒が印象的です。明と暗、陽と陰の取り合わせが、作中人物の内面まで想像させるようです。
風にゆれ同じ方向つくしんぼ
吉井入野中1年 高麗  翼
【評】ものをよく観察し、そこから何かの発見を導き出すのが、俳句にとって最も大切なこと。ツクシの向きが同じというのが、その第一歩。
ふで箱を開けたらそこは春の色
渋川小野上中1年 横山ゆかり
【評】筆箱を開けるという、中学生にとって最も日常的な行動を通して、春の季節感をうまくとらえました。これは結構難しいことですが?。
教科書のページめくれて春終わる
渋川小野上中2年 樋田 亮介
【評】教科書をくり返し読んだのでページが反り、めくれやすくなってしまったのだと考えたい。単に風がめくったというのでは平凡だから。
日射しあび草木も花もいそぎ足
中央中等教育学校3年 諸田  司
【評】植物はもとよりのこと、鳥獣魚介もみな春到来を待ちかねて心落ち着かない様子です。もちろん、諸田君も同様であったことでしょう。