林桂選

2006年4月26日上毛新聞掲載


旅立つ日長い階段中学校
下仁田小坂小6年 斉藤 典明   
【評】「旅立つ日」は、卒業を意味しているのでしょう。旅先の中学校を「長い階段」で意識し表現しています。心の陰影がでています。
ぶらんこで友と歌った別れの日
下仁田小坂小6年 加部 優紀
【評】「別れの日」も卒業。友も同じ中学校に進学するのでしょうから、ここで別れを惜しんでいるのはぶらんこのある小学校の生活です。
冬ぼうしかぶると体もあったまる
伊勢崎境剛志小6年 森村 佳奈
【評】冬ぼうしをかぶると、頭だけではなく、体全体が暖まることに気が付きました。このような体の感覚をていねいに書けるのは立派です。
夕方に鳥がとびこむ冬木立
伊勢崎境剛志小6年 金井 愛実
【評】「冬木立」は、もうかげっていそうです。常緑樹の暗い影が浮かびます。「鳥がとびこむ」に、早い日暮れの感じが出ています。
光る風花の上を通ってる
伊勢崎境剛志小6年 舟木  茜
【評】舟木さんが思っている「花」は何でしょう。俳句では「花」とだけ言ったら、「桜」をさします。花を仰いだ青空のもとに風が輝きます。
止まってる時計を動かす春の風
中之条中1年 吉田 知世
【評】「止まってる時計」は、冬の比喩(ひゆ)かもしれません。しかし、そう読むと理屈になります。中七で切って「作者」の行為とするのがよさそう。
うぐいすが風のリズムで歌ってる
中之条中1年 高橋 朋恵
【評】ウグイスの鳴き声に「風のリズム」を感じるといいます。音色の美しさ、声の変化。言われると春の風のリズムに思えてきます。
妹の自転車空色春の色
中之条中1年 小林 真衣
【評】「空色」「春の色」と畳みかける表現が効果的。妹さんが新しく買ってもらった自転車でしょうか。春の光に輝いているようです。
黒板消し冬の寒さも消していく
小野上中1年 佐藤 史佳
【評】「消していく」は、黒板消しを使った作者の行為。春を早く迎えたい作者の思いがこもった行為なのです。感覚のいい句です。
黒板の色がきれいな春の朝
小野上中1年 新井 美晴
【評】一般的には、「きれいな」のような表現は俳句では避けた方がいいのですが、この句では素直な言い方が「春の朝」にふさわしそうです。
曇り空心と共に山沈む
小野上中2年 飯塚 泰志
【評】「山沈む」をどう読むか迷いますが、人目をひくことには成功しています。落ち込むのもここまで誇張されればいっそ気持がいい。
川近く桜道の矢まっすぐに
高崎片岡中2年 吉田 裕良
【評】桜並木の道をまっすぐな「矢」にたとえたところが新鮮。川もまっすぐに流れているはず。ゆったりとした流れの大河です。
冬の空澄んだ空気に映る町
沼田西中2年 佐藤 隆紀
【評】遠望する町。その町までの間に冬の澄んだ冷たい空気が張りつめています。その空気に冬の青空が混ざり込んでいます。
「先輩を追って歩め」と背押す春
高崎群馬南中2年 布田さゆり
【評】引退し、卒業していった部活動の「先輩」をさしているのでしょう。改めて「先輩」に負けない成績を残そうと心に誓います。
春の野は少しゆっくり時すぎる
高崎片岡中3年 美細津吉泰
【評】春の野原ののどかな雰囲気を「少しゆっくり時すぎる」と表現。やっと訪れた春を、時間もゆっくりと楽しんでいる風情です。