鈴木伸一選

2006年5月17日上毛新聞掲載


夕暮れの桜のむこうに君がいる
前橋西高1年 高橋 雅人
【評】古来、夕暮れどきは現実界と異界との境だと考えられてきました。とすれば、「君」も実在か幻想かは不分明。その不可思議さがいい。
山吹の咲いた道から吹いた風
前橋西高1年 羽鳥 美樹
【評】ヤマブキの花は、遠くからでもそれと分かる鮮やかな黄色。暖かな風に吹かれて、春の季節感にどっぷりとひたっている羽鳥さんです。
夏近し土のにおいが物語る
前橋西高1年 根岸 翔平
【評】土のにおいで季節の移り変わりを知る。たとえば、運動部で毎日グラウンドなどを走っていたりすれば、こういうこともありそうです。
山を見て母が浮き立つ木の芽時
富岡東高3年 高木こずえ
【評】さまざまな木々に新芽の萌え出るころ。自然を愛するお母さんは、何やらうきうきした様子です。私も、野山を散策したくなりました。
少しだけ寂しくさせる春風よ
高崎商科大附高3年 阿久沢有沙
【評】春は、のどかで明るい印象の半面、そこはかとない寂しさや愁いも感じさせます。この句も、その線に沿ったものとして共感できます。