林桂選

2006年5月24日上毛新聞掲載


桜の木見上げてほおばる焼きそばパン
前橋西高1年  丸橋  光
【評】短いお昼休みを利用してのお花見でしょうか。屋台の焼きソバに代わる「焼きそばパン」で、気分を演出。青春の自画像でもあります。
ふと思う自転車の風夏近し
前橋西高1年 岡村 静香
【評】「ふと思う」がなくても、中七下五の表現で十分。「ふと思う」に代わる違う視点の要素を加えれば、スケールの大きな句になります。
弁当に桜の花びら入ってる
前橋西高1年 柳岡 大介
【評】もちろん最初から入っていたのではなく、弁当を開いたときに忍び込んだのです。桜の花の見事さを間接的に表現。それゆえ見事。
燕来て家のベランダ白くなる
前橋西高1年 奈良  徹
【評】「白くなる」は燕の糞でしょうか。でも、季節感覚としての読みが可能。「頭の中で白い夏野となってゐる」(高屋窓秋)があります。
残雪のはるかな山から風光る
吾妻高2年  津久井果歩
【評】スケールの大きな春の風景句。残雪の輝きを伝えて光る風には、作者の若い感性の清々しさも出ています。
五時間目春めいている木陰かな
明和県央高2年 佐藤 俊樹
【評】「木陰」に焦点を絞って表現して成功しています。「春めく」という感覚からは遠い木陰に感じることで、春の季節感が一層増します。
忘れられる桜の季節の誕生日
高崎商大附高3年 黛  佳味
【評】桜の季節は、年度替わりにも重なっています。いい季節に生まれたのですが、それゆえ存在感を示せない作者の誕生日。ユーモラス。
桜散りラインかくれるテニスコート
高崎商大附高3年 小野寺真澄
【評】横山ゆかりさんの句の数日後の様子のようです。「ラインかくれる」で、散った多量の桜の花びらが暗示されています。豪華絢爛。