鈴木伸一選

2006年5月31日上毛新聞掲載


麦畑風にふかれて色かわる
前橋山王小6年 山口 城見
【評】金色に熟(う)れた一面のムギ畑ですが、風の強さや向きによって、実はその色が少しずつ変わるのです。よく観察し、よく発見できました。
夏の昼時計のはりがおそすぎる
前橋山王小6年 羽鳥 佳奈
【評】楽しみに待っていることがあると、じれったくて、時計の針の進むのが遅く感じられますよね。反対に、退屈過ぎても同じようですが。
雨の日は水玉たちの音楽会
前橋山王小6年 長谷川みき
【評】似た俳句はありますが、それでもこの作品のはずむような雰囲気はいいなあ、と思います。これなら梅雨どきも楽しく過ごせますね。
春の風世界を通りやってくる
高崎国府小6年 大山 和真
【評】スケールの大きな発想がいい。耳を澄ますと、春風は自分が見てきた世界中のいろんなことを、そっと教えてくれるかもしれませんね。
一年生どんな子でも笑ってる
前橋大胡小6年 佐股  恵
【評】一年生がいつでも笑っていられる学校って、すてきですね。最上級生のみなさんが中心になって、さらにすてきな学校にしてください。
2日目の朝のお散歩バラきれい
前橋笂井小6年 石井 千歳
【評】修学旅行の俳句のようです。二日目ともなると、だいぶ緊張も解け、バラの花がきれいだなあ、と感じる余裕も出てくるのでしょう。
花びらが散りゆく中で皆笑う
富岡南中1年 清水 涼香
【評】「皆」は、クラスメートのことでしょう。記念写真の撮影風景かもしれませんが、何にせよ、ある種の連帯感が伝わってくるのがいい。
白猫や布団の上の春休み
六合中1年 市川 昌樹
【評】白ネコが、布団(ふとん)の上で気持ちよさそうに寝そべっています。その情景は、何だかのんびりした春休みの気分を凝縮したかのようです。
雲たちが元気いっぱい春の空
六合中2年 山本 千紗
【評】春の空を、雲がさまざまに形を変えながら流れてゆきます。そこに、明るくて元気いっぱいな作者の姿が重なり、好感を持ちました。
初夏の夜心打たれる雨の声
安中松井田西中2年 直井 拓弥
【評】「雨の音」でなく、「声」。ここに、作者の思いがこもっています。雨が大切な友人であるかのように、静かに語りかけてくるのです。
新緑がぼくたちつつむ風の音
下仁田中1年 清水 健司
【評】目には鮮やかな新緑。耳にはさわやかな風音。清水君が自分の感覚をフルに使って、初夏の季節感を受け取っていることが分かります。
桜の葉キラキラ光る授業中
下仁田中3年 里見  薫
【評】教室から見える、光の中の葉桜。授業中とは言え、つい目を奪われてしまいそうな美しい情景です。
さくらさく十四歳の誕生日
赤城養護小児医療センター分校中2 宮下  穣
【評】「十四歳の誕生日」は事実そのままではありますが、半面、事実だからこその動かし難い力強さも感じさせます。誕生日、おめでとう!
友だちの手紙にかすかな初夏のにおい
中之条中2年 山田 礼子
【評】季節感が自然に伝わってくる手紙というのは、やはりいいものですね。心のこもった手書きの文面でないと、こうはいかないでしょう。
たんぽぽが小さくはえてるセカンドに
中之条中2年 阿部 椋汰
【評】作者は野球部所属なのでしょう。セカンドという、ちょっと場違いなところに咲いてしまい、タンポポも何だかとまどっている感じ。
すき通る私の手の平きりの中
中之条中2年 宮崎  瞳
【評】霧の中では、感覚が普段とは違った働き方をするのかもしれません。自分の手のひらが透き通るというのも、分かるような気がします。
春風がはこんでくれる物語
中之条中3年 林  優里
【評】春風が運んでくる物語は、きっとハッピーな内容。伸び伸びとした書き方で、素直に共感できます。
夏浅しぐたっと倒れる辞典かな
渋川小野上中3年 丸山  唯
【評】「ぐたっと倒れる」がおもしろい。私の手元にある辞典も、同じように、よく倒れます。身近な題材を、うまく俳句に取り入れました。
母の日はコーヒー香る五月晴れ
渋川小野上中3年 佐藤 莉奈
【評】コーヒーは、作者が淹いれたのでしょうね。こういうさりげないやさしさが、母の日の一番の贈り物。
草笛の音色届いた空青し
高崎片岡中3年 猿谷 良太
【評】懐かしく、どこか物悲しくもある草笛の音色。夏の空もそれに反応して、胸の奥がきゅんとするくらい青くなってゆくというのです。