鈴木伸一選

2006年8月23日上毛新聞掲載


もえている緑青々夏の朝
下仁田小坂小5年 佐藤 幸映
【評】とてもすがすがしく、思わず深呼吸をしたくなるような俳句。佐藤さんの家のまわりの風景だとすれば、ちょっとうらやましいくらい。
やまぼうし四年目にして花開く
高崎金古南小5年 戸塚 渓菜
【評】家の庭か校庭かは分かりませんが、とにかく、移植したヤマボウシの木が、四年目にしてようやく花をつけたのです。よかったですね。
赤富士を見ながら食べるかき氷
高崎金古南小6年 原  啓輔
【評】葛飾北斎(かつしかほくさい)という人に、赤富士を描いた有名な木版画があります。朝日に富士山が赤く見える珍しい現象に出合えたのは、幸運でしたね。
宿題のにげみちがない夏休み
高崎国府小6年 植木 悠介
【評】「にげみちがない」という表現に、植木君の気持ちが素直に出ています。大変だとは思うけど、やはり宿題はちゃんと仕上げましょう。
朝顔がさいて毎朝目が覚める
群馬大附小6年 深町 真嗣
【評】朝起きるたびに、アサガオが気になるのでしょう。と言うか、アサガオの様子を確認するために目が覚めるような感じさえするのです。
夏が来ただけどお空は変な顔
前橋山王小6年 小鮒 知佳
【評】暦の上では夏になったというのに、ぐずついた天気が続いているのです。空も、何だか調子が出ないなあ、といった顔つきに見えます。
赤とんぼおてんとさまが呼んでいる
伊勢崎名和小6年 上原 海月
【評】よく晴れた秋の日の情景が、ぱっと目に浮かびます。すいすいと飛ぶ赤トンボも、それを見ている上原さんも、本当に気持ちよさそう。
田んぼにも水が入ったプール開き
伊勢崎名和小6年 栗原 雅斗
【評】田に水が張られるころ、学校では、いよいよプールが始まるのです。日常的な情景の中に、夏の季節感をしっかりととらえています。
朝顔が光ってみえるこのきせつ
伊勢崎あずま北小6年 小倉望友紀
【評】植物も人間も、それぞれ一番美しい時季には、自分の内側からオーラのような光がにじみ出てくる感じがします。ちょっと難しいかな。
雨が降り急いで通る夏の鳥
前橋二中2年 川尻 浩貴
【評】急の夕立。雨を避けるため、鳥たちが作者の前を大あわてで飛んでゆきます。作者も同じように、雨宿りの場所を探したのでしょう。
梅雨明けてあっけらかんと夏が来た
高崎片岡中3年 美細津吉泰
【評】「あっけらかんと」が面白い。梅雨明けから息つく暇もなく猛暑になったりすると、確かにちょっと呆あっ気け(あっけ)にとられる感じがしますもの。