鈴木伸一選

2006年9月6日上毛新聞掲載


教室ではじめてきいたせみの声
下仁田小坂小5年 新井 沙妃
【評】教室で、今年はじめてのセミの声を聞いたということでしょう。その瞬間の新井さんのはずんだ気持ちが、すなおに表現されています。
夕やけで海が天使のとおり道
高崎国府小5年 木下満里子
【評】臨海学校で見た日本海の夕焼けの美しさが、とても印象深かったのでしょう。海の上を飛んでゆく天使の姿が、私にも見えるようです。
夕焼はあらなみの日が最高だ
    高崎国府小5年 肥留川広平
【評】芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」もそうですが、日本海の荒波は特に印象的。夕焼けも、見るからに堂々として力強い感じです。
夕やけで心と心つながった
高崎国府小5年 佐鳥 玲菜
【評】団体行動を通して、友情や団結を深める。これが臨海学校の良さでしょう。美しい夕焼けに、みんなの心が一つにつながったのです。
夕焼けにぽつんと立ってるぼくの花
高崎国府小5年 田子 洋樹
【評】これは、臨海学校での作ではないようです。家の庭か校庭かは不明ですが、田子君が大事に育てた花が、影絵のように浮かんでいます。
夕焼けの海にうつるさどが島
伊勢崎広瀬小5年 神足由美子
【評】私も、夕焼けに浮かんだ佐渡島に感動した経験がありますよ。神足さんにとっても、臨海学校の一番の思い出になったことでしょう。
ゆうやけが海にうつってかがやいた
伊勢崎広瀬小5年 池田 優紀
【評】前句と似た部分もありますが、こちらは夕焼けに輝く海の美しさが中心となっています。群馬には海が無いから、本当に感動しますね。
夏休みプールの時間がまだこない
前橋山王小6年 須田 広夢
【評】家にいて、学校のプールが始まる時間を、今か今かと待っているのでしょう。何と言っても、プールは夏休みの大きな楽しみだものね。
木々が呼ぶ仲間を増やせ緑たち
前橋山王小6年 長谷川 樹
【評】今、地球上ではものすごい速さで緑が失われています。「仲間を増やせ」という木々の声に応え、私たちも緑化を真剣に考えましょう。
太陽とかがやく白球おいかける
六合中1年 山本  航
【評】太陽に力をもらい、懸命に白球を追いかける作者。「太陽と」の後ろに、「一緒に」という言葉を添えて読むといいかもしれません。
夏の空ぽかんと浮かぶ白い球
六合中2年 山口  悟
【評】だれかが打った野球ボールでしょうか。まるで中空に停止したかのような表現が面白い。白々とした昼の月を描いたとも読めますが。
人の輪に線香花火光ってる
渋川小野上中3年 宮 ゆりか
【評】幾人かが輪になって、しゃがんでいます。その輪の真ん中で、線香花火の小さな火が揺れています。静かで美しい、夏の終わりの情景。
夏休み静かにゆれる制服や
渋川小野上中3年 斉藤 千尋
【評】夏休みの間はあまり着る機会のない制服が、部屋を吹き抜けてゆく風に静かに揺れているのです。どことなく学校が恋しそうな様子で。
水玉を何処かへ連れ去る夏の風
高崎片岡中3年 天井 莉奈
【評】「水玉」は、夢や希望の象徴でしょうか。それを夏の風が連れ去ってしまうというところに、若い作者ならではの心の痛みを感じます。