鈴木伸一選

2006年9月20日上毛新聞掲載


りんかいの夕日はとってもまぶしいな
前橋山王小5年 内田  葵
【評】臨海学校では気持ちも高ぶり、いろいろなことに敏感になるようです。夕日が特別まぶしく見えたのも、そのためなのかもしれません。
海の水しょっぱすぎて口ちぢむ
前橋山王小5年 石井 一貴
【評】群馬のような海無し県に住む私たちにとって、海の水は想像以上に塩辛いのではないかな。「口ちぢむ」に、そんな驚きが出ています。
はちまきは運動会のしゅやくです
渋川津久田小5年 狩野 大輝
【評】もちろん、運動会の真の主役は狩野君たち。優勝目指して懸命に跳んだり走ったりする様子を、団別のハチマキであらわしたのがいい。
海の音やさしい風がふいてくる
伊勢崎広瀬小5年 榎  愛可
【評】海の風にやさしさを感じたのは、何よりも榎さん自身がやさしい心の持ち主だから。読者も、自然とやさしい気持ちになってきます。
校庭があせでキラキラ光ってる
前橋桃川小6年 田中 綾乃
【評】校庭で運動している子どもたちの汗が、夏の太陽にキラキラと光ります。それを、校庭そのものが光っていると感じたのがすてきです。
せみしぐれバット一振り勝ちをよぶ
前橋大室小6年 長谷見 優
【評】蝉(せみ)時雨も聞こえないくらい精神を集中して、思い切りバットを振りぬいた長谷見君。「勝ちをよぶ」という一言が、気持ちいいですね。
魚釣り魚がみんなバテている
前橋笂井小6年 吉野 大和
【評】炎天下での魚釣りの様子でしょう。釣り上げた魚も、何となくばてているように見えます。吉野君は、元気いっぱいという感じですが。
夏休み記憶が消える部活動
富岡南中1年 春山 和希
【評】あまりの暑さで頭がくらくらするような感じを、「記憶が消える」と言ったのでしょう。ともあれ、水分補給と適度な休息を忘れずに。
さといもの大きな葉っぱに夏たまる
渋川小野上中1年 斉藤 結衣
【評】サトイモの大きな葉の上に露がたまっているのは、趣のある光景。季節は初秋ですが、まだどこか夏の名残(なごり)をとどめているという感じ。
教科書に目を通す夜虫の声
渋川小野上中3年 宮 ゆりか
【評】静かな秋の夜に虫の声を聞きながら、明日の授業に備えて教科書に目を通す作者。何だか、時間がゆっくり流れているような感じです。
やっと来た遅かれ早かれやはり夏
中之条中2年 小林 直人
【評】今年は梅雨が長かったので、本格的な夏の到来を待ち望む思いも、例年より強かったようです。暑くなればなったで、大変ですけどね。
自転車のペダルが軽い夏休み
中之条中2年 高橋千沙都
【評】夏休みならではの解放感が、自転車のペダルを一層軽く感じさせたのでしょう。こんな日は、ちょっと遠出をしたい気分になりますね。
風呂掃除窓開けセミの声聞いた
中之条中2年 金子 瑠実
【評】日常生活の一こまを飾らずにさらりと描いていますが、それでいて、夏の季節感もしっかりとらえられています。俳句は、これでいい。
空を見て何かつぶやく秋の空
六合中2年 山口  瞬
【評】ふとつぶやいた言葉が、透明感のある秋の空に、すっと吸い込まれてゆくようです。なお、「空」の字の重複は再考してみてください。