鈴木伸一選

2006年10月18日上毛新聞掲載


秋の空雲は豊かにながれてる
前橋大室小6年 山田 歩未
【評】広々として透明感のある空。悠々と流れてゆく豊かな雲。秋の自然を深い呼吸でとらえた、読むと気持ちがゆったりとしてくる俳句です。
ひまわりは何があってもそこにいる
伊勢崎名和小6年 阪本 愛実
【評】堂々と立つ大きなヒマワリが、目に浮かんできます。どことなくユーモラスな表現が、ヒマワリを一層親しみやすいものにしています。
応えんが雨雲消した運動会
高崎国府小6年 森山 えみ
【評】今年は、運動会直前まで雨模様でしたね。応援の熱気が雨雲を消したというところに、無事に運動会をむかえたうれしさが出ています。
夏の風すれちがったら秋の風
高崎国府小6年 後閑 優里
【評】季節の変わり目の微妙な風の肌ざわりを、よくとらえた作品です。行く夏と来る秋、二つの季節がすれ違ったということでしょうね。
雨あがり木々のしずくがわたしをかこむ
前橋山王小6年 悦永  舞
【評】自分のまわりの世界が消え、ただ雨のしずくがあるばかり。とてもみずみずしく、詩的なイメージだと思います。季節はいつでしょう?
赤とんぼ秋をおしえる小さな声で
渋川津久田小6年 石田陽菜子
【評】赤トンボが秋の到来を教えるというのはよく見かけますが、この句には「小さな声で」という発見があるので、ぐんと良くなりました。
秋の空夕日にみちた赤とんぼ
渋川津久田小6年 岩崎早也香
【評】秋の空に、夕日の赤がいっぱいに満ちています。赤トンボも岩崎さんも、一緒に赤く染まっています。何とも美しい秋の夕暮れです。
花火見た夏の思い出かみしめて
富岡南中1年 猪野 美咲
【評】行く夏を惜しむかのように、夜空を華麗に彩る花火。夏の思い出をかみしめながら、ちょっぴりセンチメンタルになった猪野さんです。
夏祭りいつもとちがう夜の町
東吾妻原町中1年 茂木 愛里
【評】祭りには元々、どこか非日常的な雰囲気があります。そこに身を置いて、茂木さんはいつもと違う不思議な感覚を味わったのでしょう。
カブト虫光の下で見つけたよ
東吾妻原町中2年 上田 美鈴
【評】夜行性のカブト虫を昼間、日の光の下で見つけたということでしょうか。豊かな自然から上田さんへの、意外なプレゼントという感じ。
ある夏に青空高くせみの声
東吾妻原町中3年 木檜 千種
【評】「ある夏」がやや曖昧(あいまい)ですが、半面、読者がさまざまに想像できる余地もあります。私は、終戦の八月十五日などを思い浮かべました。
七草を探して楽し帰り道
渋川小野上中1年 齊藤 天志
【評】先日の新聞に、秋の七草を知らない人が増えているという記事がありました。でも、作者のような若い人もいることに、ちょっと安心。
鉛筆の先をながめる秋の夜
渋川小野上中2年 新井 美晴
【評】鉛筆の先を眺めるという些細な動作が、季語「秋の夜」によって、とても印象深くなりました。作者は、何を考えていたのでしょうか。
ハードルを秋風跳んだ授業かな
渋川小野上中3年 佐藤 莉奈
【評】並んだハードルを、秋風が跳び越して行ったというのです。見えない風を擬人化し、どことなくさびしい秋の気分をうまく描きました。
学校の秋の夕日が映る窓
中之条中2年 塚田  妙
【評】窓に映った夕日。まるで額の中の絵のような、美しい光景です。学校生活を通して、秋の季節感を素直にとらえているのが好ましい。
池の上散ってかさなる紅葉かな
中之条中2年 冨沢 美咲
【評】「散ってかさなる」という表現から、作者が対象をていねいに観察したことが分かります。観察が、作者独自の発見につながります。
澄んだ空風去るように夏終わる
六合中3年 山口 清華
【評】夏の終わりというのは、胸の奥がチクッと痛むような切なさを感じさせるものです。澄んだ空へ向いた作者のまなざしに惹(ひ)かれました。
野原にてすすきはらはらはしゃいでる
高崎片岡中3年 平井 天馬
【評】「は」の音のくり返しが、印象的なリズムを奏でています。そのリズムに乗り、風になびく野原一面のススキが、目に浮かんできます。