林桂選

2006年11月22日上毛新聞掲載


ほんのりと秋の香の夜風かな
前橋西高1年 角田 聖実
【評】闇の夜景を風が渡るのです。視覚が働かなくなることで、にわか俄に動き出す嗅覚。「ほんのりと」は、そんな感覚を捕まえて巧みです。
流星に君への想い告げました
前橋西高1年 熊谷 佳祐
【評】流星へは願い事を告げるべきでしょうが、この句では愛の告白のようになっています。流星はあたかも君の代役のようです。
天高し自転車こいで歌うたう
前橋西高1年 清水 千裕
【評】この歌は、当然鼻歌。気分上々なのです。それには「天高し」という秋の爽やかな気候が預かって大きいことは間違いありません。
寂しさにぶどうを見つめる乙女かな
育英短大2年 今井 香織
【評】寂しさを紛らわすためにすることとして、ブドウを見つめることには意外性があります。しかし「乙女」が、それを納得させるのです。
今は亡き祖父母の庭の冬景色
育英短大2年 宮田 亜紀
【評】冬の寂しい庭の光景に、改めて祖父母の不在を感じています。おそらく生前は、二人で丹精こめて手入れしていた立派な庭でしょう。