林桂選

2006年11月8日上毛新聞掲載


ひもぐつをしっかりむすんで徒競走
下仁田小坂小5年 佐藤 幸映
【評】今の小学生は、普段ひもぐつをはく人は少ないことでしょう。徒競走用のくつでひもぐつを初めて体験する人も多いはずです。
運動会空のはたまで踊ってる
前橋山王小5年 南雲 彩歌
【評】運動会の校庭に張り巡らされた万国旗。その旗も、「踊っている」ように感じられるのです。みんなでダンスをしている場面でしょうか。
秋空や我も行きたい風の道
六合中1年 市川 昌樹
【評】秋空に風の通り道が見えています。「我も行きたい」に、現実逃避的な思いが重ねられているのかもしれません。
雨の音部活の声と混ざり合う
六合中1年 山本  大
【評】雨に降り込められた部活動。屋外で行っている部も、今日は室内練習です。外の雨の音、室内の部活動の声が混ざり、競い合います。
ゆっくりと世界に芽を出すひがん花
渋川小野上中1年 野村 千夏
【評】「ゆっくりと」に、世界のようすを探っている感じがあります。曼珠沙華だけでなく、私たちは、みな世界に芽ぐんだ仲間です。
夏終わり思い出すのは波の音
東吾妻原町中1年 塩原 理沙
【評】夏の思い出が、「波の音」に集約されているのです。海に行ったときに聞いた波の音でしょうか。終わることで夏は思い出となります。
さわやかな朝をむかえに小鳥来る
渋川小野上中2年 唐澤久美子
【評】朝の小鳥のさえずりのさわやかさ。その小鳥の鳴き声を、さわやかな朝を迎えにきたためのものと見たてました。おもしろい。
調律の終わったピアノも秋の顔
中之条中2年 山田 礼子
【評】芸術の秋。ピアノも調律を終えて、芸術のシーズンを迎えるのです。ピアノのたたずまいに「秋の顔」を感じたところがユニーク。
秋の空似合うは黄色の目玉焼き
中之条中2年 剱持 侑那
【評】秋の空と目玉焼きが似合うと言われても困惑しますが、月からの連想でしょう。「いろはにこんぺいとう」の上がり口調が浮かびます。
青空に夏の思い出浮かんでる
中之条中2年 宮崎 彩夏
【評】秋の青空を仰ぎながら夏の思い出に浸っている作者。するとその思い出のようすが、空をスクリーンのようにして甦ってくるのです。
秋雨の中に輝く明日の希望
六合中3年 山本  凌
【評】当然ですが、「明日の希望」は天候に左右されません。あいにくの秋雨の天候の中でも、作者には明日の希望は輝いて見えています。
帰り道日影と日なたが笑ってる
中之条中3年 山口  聡
【評】「笑ってる」がおもしろい。日影も日向も区別なく暖かい感じの場所でしょう。強い日差しにくっきりと別れた影と日向でしょう。
ボールペン紙にすけてる秋の風
渋川小野上中3年 野村  楓
【評】「紙にすけてる」がうまい表現。ボールペンの文字が透けて見える紙のうすいようすが、どこか秋のもの寂しさに通じるのです。
テスト日の秋風染みる帰り道
高崎片岡中3年 富田佐知子
【評】定期試験か模擬試験の帰り道。自責の念とともに帰るのです。誰も同じに違いないのですが、秋風は反省を促すように吹いてきます。